ドイツ・ミュンヘンのBMW博物館は、伝説的なBMWアートカーコレクションと象徴的な『3シリーズ』の50周年を祝う特別展を開始した。
この展示は、1975年のル・マンで初めて公開されたアレクサンダー・カルダーによる最初のBMWアートカーのデビューを記念するものだ。展覧会は2026年2月1日まで続き、BMW『3シリーズ』をベースにしたサンドロ・キアのBMW『M3 GTR』、マイケル・ジャガマラ・ネルソンとケン・ドーンがデザインしたBMW 『M3』(グループA)の3台のアートカーが展示される。
BMW博物館は、BMWアートカーが世界各地で展示されていない時の本拠地であり、今回の特別展はBMWアートカー世界ツアーの一環。このツアーはコレクションの50年の歴史の中で最大規模の展示プロジェクトであり、これまでに5大陸12市場を巡回している。今後も世界中の美術館や自動車関連のプラットフォームでBMWアートカーの展示が続く予定だ。博物館では、BMWアートカーコレクションの芸術的な魅力と歴史、3シリーズの技術的な優秀さ、そしてBMWブランドの革新力を紹介する。

BMW3シリーズは1975年の初登場以来、ドライビングプレジャーの代名詞としてBMWの成功を支えてきた。スポーツセダンの概念を再定義し、性能の新基準を打ち立て、世界中の多くのドライバーに喜びをもたらしている。初代モデルから最新の革新的なモデルに至るまで、3シリーズは自動車業界でスタイルを象徴する存在であり続けている。
BMWアートカーコレクションは、1975年にフランスのレーシングドライバーであり芸術愛好家のエルヴェ・プーランの発案で始まった。彼はBMWの当時のモータースポーツ責任者ヨッヘン・ネアパッシュと協力し、友人のアーティスト、アレクサンダー・カルダーに車体へのペイントを依頼した。これがル・マン24時間レースに出場したBMW『3.0 CSL』であり、観客の人気を集めコレクションの誕生となった。

その後、フランク・ステラ、ロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホル、ロバート・ラウシェンバーグ、エスター・マランゴ、デイヴィッド・ホックニー、ジェニー・ホルツァー、オラファー・エリアソンなど世界的な著名アーティストが独自のスタイルでBMWアートカーを制作してきた。近年ではアメリカのジョン・ボルデッサリや中国のマルチメディアアーティスト曹斐(ツァオ・フェイ)がBMW『M6 GTLM』や『M6 GT3』をキャンバスにした作品を発表し、ジェフ・クーンズやジュリー・メフレトゥと共に近年のBMWアートカーに新たな創造性を加えている。
6月17日に始まった展示では、ケン・ドーンが1989年に制作したBMW『M3グループA』、マイケル・ジャガマラ・ネルソンによる同じく1989年のBMW M3グループA、そしてサンドロ・キアの1992年BMW M3 GTRが公開されている。ケン・ドーンの作品はモーターレースのエネルギーと躍動感を鮮やかな色彩で表現し、マイケル・ジャガマラ・ネルソンはアボリジニの伝統的なドットペインティングで夢物語を描いた。サンドロ・キアの作品は人間と機械のつながりを象徴し、車の社会的役割を考えさせる内容だ。また、スペインのセサール・マンリケが1990年にデザインしたBMW『730i』の10番目のアートカーも常設展示として見ることができる。