メルセデスベンツは、2月5日にフランス・パリで開幕するクラシックカーショー「レトロモビル2025」に出展すると発表した。伝説のオペラ歌手マリア・カラスが所有していたメルセデス『600』、「グランド・メルセデス」(W100型)を展示する。
この車両は1971年製の短いホイールベースのサルーンで、当時ニューヨークに住んでいたカラスが自ら手紙でフランスでの登録手続きを行ったという。ボディがシルバーグレーメタリック、ルーフがブルーメタリックの珍しい2トーンカラーが、車の優雅な個性を強調している。
内装には、後部座席から操作できる特別仕様のベッカー・グランプリオーディオシステムが装備されており、カラスの音楽への愛着と高級志向が伺える。整備手帳には、サンレモ、ミラノ、パリなどでの点検記録が残されており、カラスの活動の足跡を垣間見ることができる。

また、メルセデスベンツは伝説的なモデル『300SL』も2台も出展する。1台は1955年製の「ガルウィング」(W198型)で、メルセデスベンツ・クラシックセンターでレストアされた。もう1台は1988年製のR107型で、走行距離3587kmという希少な1台となっている。
さらに、メルセデスベンツの革新的リーダーシップを示す展示として、1970年製の実験車「C111-2」と、珍しい4ローターワンケルエンジンを出展する。C111-IIは、ワンケルエンジンと新しい設計手法の可能性を実証するために開発された超高性能スポーツカーだ。
加えて、国際自動車連盟(FIA)の歴史部門が、メルセデスベンツ・クラシックのコレクションから1904年製のメルセデス『シンプレックス28/32hp』を特別展示する。この車は2024年のロンドン・ブライトン・ベテラン・カー・ランに参加し、20世紀初頭におけるメルセデス・シンプレックスの勝利を象徴している。
今回の出展を通じて、メルセデス・ベンツは自社の豊かな歴史と技術革新の伝統を改めて世界に示すことになる。