VWグループ、欧州での顧客直接販売を見直しへ…EV移行の遅れが要因

フォルクスワーゲンの電気自動車『ID.3』
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フォルクスワーゲングループは11月27日、一部の欧州市場において販売モデルの見直しを開始すると発表した。同社は長期的には「顧客直販」アプローチを目指しているが、市場環境の変化により短中期的な戦略の調整が必要になった、としている。

この動きの背景には、自動車業界全体で電気自動車(EV)への移行が当初の予想よりも遅れていることがある。そのため、EVに対する直販モデルと、他の駆動方式の車両に対する間接販売モデルを並行して販売する期間が長期化すると予想されている。

フォルクスワーゲンは、この複雑な販売体制を長期間維持することは販売組織にとって大きな課題になると認識している。そこで、卸売業者や小売業者と共同で見直しプロセスを開始し、短中期的にEVの販売を間接販売モデルに戻すことが有利な選択肢になるかどうかを検討する。この見直しの結果は2025年第1四半期末頃に発表される見込みだ。

一方で、フォルクスワーゲングループは長期的な目標として「顧客直販」モデルを引き続き追求していく方針だ。

現在EVの顧客直販を採用しているフォルクスワーゲン乗用車、フォルクスワーゲン商用車、シュコダ、アウディの各ブランドは、今回の見直しプロセスに参加する。対象市場はフランス、ドイツ、ポーランド、スペイン、イギリスの5か国となる。

この動きは、EVシフトの進展が予想よりも遅れている現状に対応するフォルクスワーゲンの戦略的な判断といえる。自動車業界全体がEV化に向けて舵を切る中、市場の実態に即した柔軟な販売戦略の構築が求められている。

《森脇稔》

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