車のサブスクが難しいワケ…限界コスト? 消費者心理? 成功させるポイントは…国際経済研究所 特任研究員 小林浩氏[インタビュー]

車のサブスクが難しいワケ…限界コスト?消費者心理?成功させるポイントは?…国際経済研究所 特任研究員 小林浩氏[インタビュー]
  • 車のサブスクが難しいワケ…限界コスト?消費者心理?成功させるポイントは?…国際経済研究所 特任研究員 小林浩氏[インタビュー]

来たる10月17日、オンラインセミナー「誰も語らない車のサブスクが難しいワケ~モノのサブスク愛用者の深層心理を読み解く」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社国際経済研究所 特任研究員の小林浩氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.モノのサブスクの生活浸透状況(商材別・年代別利用率、今後の利用意向、非利用理由他)
2.所有とサブスクを使い分ける分岐点
 ~すべての商材が同じようにサブスクビジネスに向くのか?
3.モノのサブスク成功事例の要因分析~何が評価されているのか?
 共通する成功要因を抽出し、それらが車のサブスクへ応用できるかを考察
4.その他の事例に学ぶサブスクの+αの付加価値
5.質疑応答

講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。

セミナーの見どころを小林氏に聞いた。


いまや、話題の新作映画、アカデミー賞作品までNetflix(など動画配信)のオリジナルコンテンツの時代だ。所有から利用という消費スタイルにもさほど違和感はない。自動車もサブスクリプションの時代だというが、本当なのだろうか。

音楽や映画・ドラマ、雑誌や漫画などデジタル商材は、サブスクリプションの典型的な成功事例である。しかし、一部で家具やブランド品での成功事例はあるものの、「モノ」のサブスクリプションの成功事例は限られている。なぜ、モノのサブスクリプションは難しいのだろうか。成功のポイントはどこにあるのか。国際経済研究所 特任研究員の小林浩氏は、この問題について広範なアンケート、パネル調査、詳細な事例研究を行っている。

OEM各社のサブスクリプションは成功しているか?

---:まず、どういった経緯、または狙いがあってサブスクリプションの調査を行ったのでしょうか。

小林浩氏(以下敬称略):新しいビジネスモデルとしてサブスクリプションが注目され、各業界で多くの企業が参入しています。自動車も例外ではありません。しかし、サブスクの成功事例としてよくメディアなどで取り上げられるのはNetflix、Spotify、Adobeといったデジタル商材が大半です。自動車業界も主だったOEMは何らかの形で車両のサブスクリプションビジネスを展開していますが、それが定着するかどうかは判断が難しい状態です。先日も、ボルボが、世界の複数地域で約7年運営してきたサブスクリプションから撤退するという報道がありました。

一般的には限界費用が極めて低いデジタル商材のほうが、定額で使いたい放題を売りにすることが多いサブスクリプションとの親和性が高いと思います。減価償却や輸送費などが避けられないモノのサブスクリプションは、ビジネスモデルの構築、とくにマネタイズのハードルが高いといえます。

なぜ自動車のサブスクの成功事例は世界的にも聞こえてこないのか?それを明らかにするためには、自動車業界だけを見ていても十分とは言えません。私も車のサブスクに特化した調査は過去数回行ってきました。それだと得られる知見に限界があったのでデジタル、モノを含めた他の商材についても調査研究が必要だと考えて、さまざまな業界、商材について定性調査、定量調査を実施しました。インタビューやアンケートでは、20代から40代までの男女を対象としました。

デジタルとモノの圧倒的な差

---:調査によってどのようなことがわかりましたか?


《中尾真二》

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