メルセデスベンツにリチウム金属固体電池サンプル納入、軽量かつ高エネルギー密度…米ファクトリアル

米ファクトリアルのバッテリーセル
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米国のファクトリアル(Factorial)は6月5日、メルセデスベンツとの共同開発契約の一環として、106+Ahのリチウム金属固体電池セルのBサンプルを納入した、と発表した。世界初の固体電池セルのBサンプル納入になるという。

ファクトリアルは、これまでに数千個の大容量固体電池を製造し、Aサンプルフェーズでは1000個以上の100+Ah固体電池セルをメルセデスベンツに納入している。Bサンプルは、モジュールやバッテリーパックに組み込まれ、広範なテストと最適化が行われる。このフェーズでは、メルセデスベンツの厳しい性能仕様に対するモジュールとパックの設計を検証し、ファクトリアルのサプライチェーンと製造プロセスの堅牢性を確認することが求められる。

固体電池セルは、ファクトリアルの独自技術「FEST(Factorial Electrolyte System Technology)」を利用しており、リチウム金属アノードを含む。このアノードは地球上で最も軽い金属であり、391Wh/kgの高エネルギー密度を実現する。ファクトリアルの電池は、既存のリチウムイオン電池の生産設備を使用して製造され、最小限の改造で済むため、製造検証プロセスを簡素化し、長期的な運用コストを削減できるという。


《森脇稔》

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