BYD日本進出から1年:その実績と課題は?…BYD Auto Japan 東福寺代表取締役社長[インタビュー]

BYD日本進出から1年:その実績と課題は?…BYD Auto Japan 東福寺代表取締役社長[インタビュー]
  • BYD日本進出から1年:その実績と課題は?…BYD Auto Japan 東福寺代表取締役社長[インタビュー]

レスポンスの無料セミナー「世界OEM各社のEV化と今後の進化普及に向けて」において、BYD Auto Japan 代表取締役社長 東福寺厚樹氏が中国自動車市場の動向や日本での新車販売開始から約1年の実績を交えた国内市場の動向などを解説する。

講演に先立ち、東福寺社長にセミナーの講演概要について聞いた。

■世界のEV市場

――セミナーではBYDの中国や日本での状況などをお話するそうですね。BYDは中国本土以外に欧州、アジア太平洋にも進出しています。グローバルでのBYDの状況はどうなっていますか。

東福寺氏(以下同):詳しい話はグラフやデータとともにセミナーでお伝えしますが、グローバルのEV市場はこの3年間の成長がめざましく、2022年には販売台数が1000万台を超える市場に成長しています。BYDは2023年通年(1-12)の実績では302万台を超える新エネルギー車(NEV)を販売し、販売台数でテスラを超えたという報道もありました。テスラはグローバルで約180万台のEVを販売していますが、中国ではおよそ53万台と115万台のEVを販売したBYDの約半分です。

2023年は輸出にも力を入れています。2021年は2~3万台でしたが23年はおよそ24万台と急成長しています。

――EUやアジアの状況はどうでしょうか。

EUは北欧を足掛かりに域内への展開を進めています。ドイツの大手レンタカー会社と2028年までに約10万台の導入計画も進んでいます。またEUでは単に販売台数を狙うのではなく、上級モデルで裕福層をターゲットとする戦略にも取り組んでいます。王朝シリーズの「唐」に加え、ATTO 3、SEALを投入していますが、狙っているのはメルセデスやテスラのモデルXやYの市場が近いかもしれません。

アジア・太平洋は、BYDでも急成長しているエリアです。タイでは23年の実績で、自動車の総需要のうち約10%がBEVになりました。すでに10万台規模のマーケットになっています。車種別の販売ではATTO3が1-9で1位を獲得しています。タイで店舗展開を始めてから1年経ちますが、すでに100店舗のディーラー網ができています。投資家や販社の期待も高く、動きが速いですね。

オーストラリアでは、テスラに肉薄しています。Evdirectとの提携で22年からBYDのEVを販売していますが、ATTO 3の月販はとても好調で、とくにSEALの人気が高いです。

■急進するアジア市場と日本市場の特殊性

――昨年、深圳でASEAN10か国の他日本や韓国、オーストラリアのディーラー、メディアを招待したプライベートイベントを開催しています。その他の国も同様なのでしょうか。

シンガポール、マレーシア、インドネシアなどでも23年後半から市場導入が始まっています。ネパールではドルフィンの先行受注が1000件を超えたという話も聞いています。

――それらの国・地域では地方に行くと電気さえ通っていないという話を聞きますが。

地域差、都市部以外の地域でのインフラ問題はありますが、たとえばタイの都市部なら、普通充電器は7kWが普通です。220Vと交流電圧が高いので、日本の3kWの倍くらいの出力があります。この出力なら、ATTO 3を0%から充電しても10時間たらずで満充電できます。実際に0%から充電するシチュエーションはまず考えられないので、自宅や勤務先にAC充電器があれば、買い物から通勤までこなせます。

――日本市場はどうですか。約1年前にATTO 3の国内販売を開始し、昨年秋にはドルフィンの販売もスタートさせました。


《中尾真二》

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