ベントレーのフラッグシップ、ミュルザンヌの跡を継ぐのが『ベンテイガEWB』だ

ベントレー ベンテイガEWB
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  • ベントレーモーターズジャパンブランドダイレクターの牛尾裕幸氏
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ベントレーモーターズジャパンはベントレー『ベンテイガ』のロングホイールベースバージョン、「ベンテイガ・エクステンデッドホイールベース(EWB)」のデリバリーの開始を発表した。

◆ラグジュアリーSUVマーケットを開拓

ベンテイガは、2015年に第一世代が登場。「新しいラグジュアリーSUVマーケットを作ることが目的のひとつだった。このベンテイガによってその新しいマーケットが開拓され、次々に競合車が出現。現在では、ラグジュアリーSUVの大ブームとなった。『コンチネタルGT』も新市場開拓の先駆者だったのと同様、新しいマーケットセグメントを作った非常にエポックメイキングなクルマだった」と評価するのはベントレーモーターズジャパンマーケティング&コミュニケーションマネージャーの横倉典氏だ。

第2世代(現行)は2019年にデビュー。「ベントレーのラインナップにおいて、ベンテイガのグローバルでのシェアは42%とベントレービジネスの屋台骨であり、核になっているクルマだ」という。日本においても同様で、「国内シェアは50%と、グローバルを上回る人気車種だ」と述べる。エンジンバリエーションは、「V8が70%、フラグインハイブリッドが20%、12気筒が10%」という割合だ。

使用実態について横倉氏は、「ほぼ8割が日々の移動に使われており、そのうち74%がタウンユースで使用。週末だけを楽しむスポーツカーでもなく、SUVなので野山を駆け巡るというイメージでもなく、街乗りがメインなので、日常の生活に溶け込んだラグジュアリーSUVである」と位置付ける。そして、「その街乗りの中で更にコンフォートに快適に移動したいというお客様のために生まれたのがベンテイガEWBだ」と述べた。

◆新しいフラッグシップ

ベントレーモーターズジャパンブランドダイレクターの牛尾裕幸氏によると、このベンテイガEWBは、「現在、ベントレーがお客様に提供できる最高のウェルビーイングを体現、具現化したモデルだ」という。ウェルビーイングとは、“心身ともに満たされた状態”という意味だ。ベントレーに乗ることでこのような状態になってほしいという開発コンセプトであり、科学的、心理的要素を組み合わせた車両の開発が行われている。

ベントレーモーターズジャパンブランドダイレクターの牛尾裕幸氏ベントレーモーターズジャパンブランドダイレクターの牛尾裕幸氏

ベントレーはドライバーズカーであり、「多くのオーナーが自身で運転される。その点も踏まえEWBであってもドライビングのパフォーマンスは決しておろそかにしていない。それと同時に後席での最高の快適性を兼ね合わせたクルマである」と紹介。

また、横倉氏によると、「ベントレーのフラッグシップサルーンだった『ミュルザンヌ』よりもヘッドスペースがあるので、現代におけるベントレーの頂点に立つ、移動空間を持つクルマ、ラグジュアリービークルといえるだろう。ミュルザンヌに変わる新しいフラッグシップだ」とした。

そのサイズは、ベンテイガをベースにホイールベースを180mm延長し、3175mmとなった。しかし、そのプロポーションはごく自然で違和感はない。横倉氏も、「非常にナチュラルなスタイリングだ」とコメントする。延長した180mmのホイールベースはすべて後席の居住空間に当てられ、全長は5322mmとなった。

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リアシートバリエーションは4プラス1(格納式のセンターアームレスト付き)、5人乗りのベンチタイプのリアシート、4人乗りのセパレートタイプの3つだ。シートポジションは16方向の調整が可能で、エアラインスペシフィケーションを選ぶと、22通りの調整が可能となるほか、後席は40度までリクライニングも出来、かつ、助手席は前方に移動するとともに、助手席後部からフットレストが現れるという。

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またオートクライメートシステムを搭載しているが、これは、乗員の体温と表面湿度を検知し、ヒーターかベンチレーター、またはその両方を作動させ、乗員が快適と感じる温度を保つものだ。さらに、姿勢調整システムは、シート表面全体の圧力を測定し、乗員の着座位置と圧力ポイントを自動的に微調整。このシステムには独立した6つの圧力ゾーンがあり、3時間単位で177か所の圧力を個別に変化させることで快適性を向上させ、移動中の疲労を最小限にする。

◆静粛性や振動にも注目

そのほか、ベンテイガEWBで採用された新しい装備として、ダイヤモンドイルミネーションがある。これはドアトリムに施された、およそ1mmのパーフォレーションパターンのさらに内部に22個のLEDを仕込み、そこから光を出すというもの。横倉氏によると「実際に数えてみたら、フロントドアは360個、リアは637個の“穴”が開いており、トータルで片側1030の穴が開いている(目視のため若干違う可能性もあるとのこと)」とし、そのカラーもおよそ20色から選べることから、「その日の気分によって車内のカラーを変えられるアンビエントライトとも連動。好きな色に変えることが可能」である。

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静粛性に関しても、「競合車と比較し4%から26%ほど静かになっている」と横倉氏。前述の通りベントレーはウェルビーイングという言葉を使ってクルマの中の快適性を向上させようという取り組みをしている。それはここでも発揮されており、横倉さんによると、「70dB以上の音にずっと晒されていると、65%ほどの人が集中力がなくなったり、注意力が散漫になったりするなどの研究結果が出ている。それを抑えるために車内の静粛性をベントレーは重要視している」とコメント。

また、振動、特にピッチとロールに関しても、「競合車に比べて27%くらい抑えられている」とのことだ。これに貢献しているのが、世界で初めてベンテイガで採用された48Vのアクティブアンチロールコントロールシステムで、EWBにも標準で装備された。「ワインディングなどでロールを抑えて非常にフラットな姿勢でコーナリングフィールを体験できる」と述べていた。

ロングホイールベース化されたことで、街中などでの小回り性が気になるところだが、これはベンテイガ初となるエレクトロニック・オールホイールステアリング(後輪操舵)がその心配を解消するという。「最小回転半径は通常のベンテイガより小さく、標準の6.2mから5.9mとなったので街中での取り扱いもしやすくなった」と横倉氏はいう。

エンジンは標準モデルと同じ4リットルV型8気筒ツインスクロールツインターボを搭載し、最高出力550psの最大トルク770Nmを発揮。最高速度は290km/hで、0-100km/h加速は4.6秒を達成。いずれも標準のベンテイガと同じとされた。

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◆ベントレービジネスの柱になる1台

現在ベントレーはデリバティブ戦略を取っている。これはパッケージオプションのようなもので、今回展示されたのはアズールというもの。これは、「快適性に注力したグレードで、乗り心地や安全性、乗客の快適性を向上するオプションが標準パッケージになっている」(横倉氏)という。その他に、「ラグジュアリーな仕様に仕立てたい場合はマリナー、よりスポーティにしたい場合はSというデリバティブを用意。よりお客様が選択しやすくなる試みをしている」とコメントした。

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ベントレーの日本市場においての状況は、2年連続で過去最高の販売台数を記録。2021年は601台、2022年は651台(いずれもJAIA調べ)で、「ベンテイガと『フライングスパー』という新しいモデルの導入はもとより、販売店の協力も大きかった」と牛尾氏はコメント。一昨年12月に国内最大の展示面積を誇るベントレー大阪が御堂筋に移転オープン。昨年3月はベントレー札幌、4月はベントレー名古屋が拡張移転オープンしたことも大きな要因と分析。さらに今年4月には、「国内最大の販売台数を誇るベントレー東京が移転オープンする。このようにお客様によりベントレーの世界観を体験いただける環境を整え、今年はEWBのデリバリーも始まることから、3年連続の新記録更新を目指して邁進していきたい」と意気込みを語る。

同時に横倉氏も、「ベンテイガは日本で非常に人気のあるクルマだ。今年も最高台数を狙っていくためにも、EWBが我々の販売の主軸、強化モデルになっていく。ベンテイガ全体のおよそ20%がEWBになれば」と見通しを述べた。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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