F1を目指しF2参戦中の21歳、岩佐歩夢が好調…目下2勝でポイント首位

第3戦オーストラリア、レース2で優勝した岩佐歩夢。
  • 第3戦オーストラリア、レース2で優勝した岩佐歩夢。
  • 第3戦オーストラリア、レース2で優勝した岩佐歩夢。
  • 第3戦オーストラリア、レース2で優勝した岩佐歩夢。
  • #11 岩佐歩夢(第3戦オーストラリア)
  • #11 岩佐歩夢(第3戦オーストラリア)
  • 岩佐の今季初優勝は第2戦サウジアラビアのレース1だった。
  • チームスタッフらと今季初優勝を喜び合う岩佐(第2戦サウジアラビア)。
  • #11 岩佐歩夢(第2戦サウジアラビア)

F1の登竜門ともいわれる「FIA-F2選手権」に参戦している日本の岩佐歩夢(いわさ あゆむ)が好調だ。参戦2年目の今季は第3戦終了時点で6レース中2勝(毎戦2レース実施)、シリーズポイント首位に立っている。

◆第2戦サウジアラビアのレース1で今季初優勝

F1昇格を狙う若武者が多く参戦することで知られるFIA-F2選手権、今季2023年は全14戦の予定で、F1との併催カレンダーが組まれている(原則として毎戦2レース制)。ホンダとレッドブル、双方の育成プログラムに所属する21歳、岩佐歩夢は今季が2年目のF2参戦であり、チャンピオン獲得が期待される存在だ(昨季は2勝、ドライバー部門ランキング5位)。

昨季同様にDAMSチームで戦う岩佐は、第2戦サウジアラビア・ジェッダのレース1(スプリントレース)で今季初優勝。レース1は予選トップ10のリバース配置を基本とするグリッド編成で競われるが、予選6位だった岩佐は5番グリッドからのスタートになるところ、他者の降格によって4番グリッドに繰り上がった。そして好スタートから初手の攻防で2番手に上昇。勢いそのまま、2周目にトップに立った岩佐はライバルたちの執拗な攻撃を封じ切って先頭ゴール、今季初勝利をゲットした。

そして予選順位ベースのグリッドから競われるレース2(フィーチャーレース)でも、他者ペナルティによって繰り上がった5番グリッド発進から4位に入賞。岩佐は開幕戦バーレーン・サクヒール(4位&8位)から4レース連続でポイントを稼ぎ、ドライバー部門ランキングで首位から2点差の3位につけた。

(*レース2=フィーチャーレースは原則的に予選順位に従って組まれたグリッドから戦う。レース距離が長めで、ドライ時には実質的なタイヤ交換義務=2スペック使用義務の原則もある。シリーズポイントの配点もレース1より大きい)

◆第3戦オーストラリアでは予選トップ、レース2を制覇

続く第3戦の舞台はオーストラリア・メルボルン。ここで岩佐は予選トップとなり、レース2のポールポジションを獲得する。これには2点のボーナスがあるので、この段階で岩佐は暫定的にポイント首位に並んだ、ということにもなる。

レース1はリバースされて9番グリッドからのスタート(本来なら予選トップは10番グリッドだが、またもや他者ペナルティで繰り上がり)。残念ながら序盤早々に接触アクシデントがあって実質的に勝負権を失うことになり、完走はするが、岩佐にとってシーズン初の無得点レースになってしまう。

しかし翌日、ポールポジション発進のレース2では見事なスタートダッシュから、複数回のセーフティカー出動があった展開のなかでしっかり優勝、今季2勝目を挙げてみせた。これで今季総得点は58、ランキング2位に8点差をつけて堂々のランキングトップとなっている。

◆「チームとして強くなることを目標に、改善を進めていきたい」

第3戦レース2終了後の岩佐のコメントは以下の通り。

「結果として、自分にとってもチームにとっても一番いいもの(レース)になりました。タイヤマネージメント、ピット作業などすべてがうまくいって、チームとしてのポテンシャルを示せたことが嬉しいです」

「マシンについては、前戦まで苦しんだスピードの問題が改善されて、一番と言っていいパフォーマンスだったと思います。スプリントレースのアクシデントは残念でしたが、その後に単独で(テスト走行的に)走れたことも今日(フィーチャーレース)のこの結果につながりました」

「チャンピオンシップで(自分がドライバー部門の)1番手となりましたが、自分の考えではチームがトップになったこと(DAMSもチーム部門で現在首位)が重要で、チームメイトとともにチームのチャンピオンシップを考えていけば、おのずとドライバーの結果はついてくる、ということを感じました。これからもチームとして強くなることを目標に、少しずつでも改善を進めていきたいと思います」

勝負権を失ったあともレース1を無駄にはしなかったことや、チームを第一に考える姿勢などがコメントから汲み取れる岩佐。シリーズチャンピオン争いの今後に期待がもたれるところだが、F2での日本勢の活躍といえば、現F1ドライバー・角田裕毅の2020年シーズンが思い出される。

参戦初年度の2020年にシリーズ3位という素晴らしい成績を残し、角田は翌2021年から“アルファタウリ・ホンダ”でF1に参戦中。ホンダとレッドブルの支援があるというのも角田と岩佐の共通点になる。もちろんF2の成績が良ければすべてが好転するというシンプルな世界ではないが、角田に続く日本人F1ドライバー誕生に向け、岩佐にかかる期待は大きい。

今季2023年は、F1の角田(第3戦オーストラリアGPで今季初入賞10位)のみならず、F2での岩佐の活躍にも注視すべきシーズンとなる。F2の次戦第4戦はF1同様にアゼルバイジャン・バクーが舞台で、4月28~30日に開催される予定だ。

《遠藤俊幸》

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