【メルセデスベンツ Aクラス・Bクラス 改良新型】ポイントは内外装デザインの変更…商品企画担当者インタビュー

メルセデスベンツ Aクラス・Bクラス
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メルセデス・ベンツ日本はスポーツコンパクトモデルの『Aクラス』とプレミアムコンパクトセダンの『Aクラスセダン』、そして、マルチパーパスコンパクトの『Bクラス』の改良モデルを発表、販売を開始した。

◆デザインやサイズで購入されているAクラス

メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画2課A,Bクラス担当の石田京太郎さんは、Aクラスの歴史について、「小型でかつ高い安全性という要望を受けて、1997年にメルセデス初の前輪駆動として販売を開始した」と導入の経緯を語る。このAクラスは、「万が一の衝突の際、乗員の生存空間を潰さないようにエンジンが下に滑り落ちるサンドイッチコンセプトを採用。コンパクトでありながら高い安全性を確保したモデルだった」と振り返る。

続いて2代目は、2005年2月に初代のサンドイッチコンセプトを踏襲してデビュー。トランスミッションにメルセデス初のCVTを採用するなど、「正常進化モデル」と位置付ける。3代目は2013年1月に登場。「若返ったデザインで、新しい顧客の獲得に成功した。コンパクトクラスでありながら、運転支援システムの採用など充実した装備を備えていた」。そして先代となる4代目は2018年10月に発表。2019年7月にはセダンも追加された。「インフォテイメントシステム、MBUXの採用や、運転支援システムをさらに向上したモデルだった」と述べた。

メルセデスベンツ Aクラスメルセデスベンツ Aクラス

そういったAクラスを購入しているユーザーはどういう層なのだろう。石田さんは、「ハッチバックは会社員や専業主婦、会社を定年退職された方々が多い」という。「年齢は平均56歳、性別は男性64%、女性36%。主な購入理由は、エクテリアデザイン及びボディサイズ、安全性」とのことだ。また、他ブランドからの流入が多いのも特徴だとした。

一方のセダンも、「会社員や、会社を定年退職された方々が多くを占めており、年齢層はAクラスハッチバックとほぼ同等の平均58歳。性別比に関してはAクラスハッチバックより男性が少し多く、男性72%、女性28%だ」とのこと。購入理由は、「セダンというボディタイプと、エクステリアデザイン、安全性」であるという。

◆サイズとともに室内の広さを重視されているBクラス

同時に改良されたBクラスは、2006年1月に初代が登場。Aクラスと同様にサンドイッチコンセセプトを踏襲。「ボディサイズとともに、室内サイズが拡大されたことなどで、日本でも非常に人気モデルとなった」と石田氏。2012年4月にフルモデルチェンジし、2代目に進化。「従来モデルと同様にファミリー層を中心に人気のあるモデルで、運転支援システムも充実」。3代目は2019年6月に発表し、4代目Aクラスと同様にインフォテインメントシステムのMBUXの採用や、運転支援システムをさらに向上させた」とその特徴を説明した。

メルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

ユーザー層もAクラスと同様、「会社員と会社を定年退職した方々が中心で、年齢層、性別の割合もAクラスハッチバックと同等だ」。しかし、購入理由はAクラスハッチバック、セダンとは異なり、「インテリアスペースが充実していることを主に評価されている」とその特徴を説明。輸入競合、日本車の同セグメントからの乗り換えが多いという。

◆どちらも他ブランドからの乗り換えが多いが、ステップアップと定着とに分かれる

ではそれぞれどこから乗り換えられ、次はどこへ行くのか。メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画2課の木下潤一さんによると、「他ブランドからの乗り換えが多いのはAクラスでおよそ半分くらいと、メルセデスの中では抜きんでている。日本車だけでなく、同セグメントの輸入車からの乗り換えも目立つ」。もうひとつ、Aクラスユーザーの特徴として、「ステップアップユーザーが多い」という。「Aクラスから『CLA』や『Cクラス』、『GLA』などメルセデス内で色々なところへ広がっていく」と分析。

そしてBクラスは、「流入が多い一方、自社代替えも多いのでとてもバランスが取れている」とその特徴を話す。従って、BクラスからBクラスという定着率も高いそうだ。

因みにメルセデスの中では「他社、特に日本車からの流入が最も多いのは『GLB』」であるとし、「メルセデスの入り口としてそのポジションを確立している」と述べる。その理由として木下さんは、「GLBは7人乗りなので、お子様が短い距離を乗ったりするには十分な3列目のシートがあることから、国産ミニバンからの乗り換えも多い。予想だが、フルサイズのミニバンを持っていたが、さすがにこのサイズはいらないが、何か違うバリューを持ったクルマを探していた方に選ばれているのでは」とコメントした。

メルセデスベンツ GLBメルセデスベンツ GLB

◆最大のポイントはエクステリアデザイン

今回のAクラスとBクラスでは、内外装の変更や最新のインフォテインメントシステム、MBUXの採用やARナビゲーションを搭載するなどの手が加えられた。石田さんに今回の改良の最大のポイントは何かと聞くと、「エクステリアデザインだ。

Aクラスもシャークノーズのフロントエンドを採用し、パワードームを入れたボンネットなど結構印象が変わっているだろう。Bグラスもパワードームこそ採用していないが、ヘッドライトの中の形状を変更し、同時にリアのコンビネーションランプも同じく変更している」。従って、鉄板部分の変更はボンネットのみだが、バンパー形状などはリデザインされた。そのほかにもAMGラインのホイールもこれまではグレーの差し色が入っていた部分も黒に仕立てられるなど、印象がシャープに感じられるようになった。

メルセデスベンツ Aクラスメルセデスベンツ Aクラスメルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

一方、インテリアで目が行くのがセンターコンソールだ。これまでそこにあったタッチパッド類の姿がなくなった。木下さんは、「ユーザーの声を聞くと、タッチスクリーンの方がより利便性が高い。どうしても機能がどんどん増えてくことによって、ダイヤルだけでは対応しきれないという理由がひとつ。もうひとつはデザイン面でなるべくセンターコンソールを上手に使いたいということもあり今回の設定になった」と語った。

メルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

ラインナップではAMGモデルの姿や、また、プラグインハイブリッドもラインナップになく、Aクラス、Bクラスともガソリンとディーゼルの2本立てだ。木下さんは、「AMGに関しては生産と船積みなどの実務的な問題で近々案内する予定」とコメント。

一方、プラグインハイブリッドモデルは、「今回の変更で廃止となった。これは欧州の流れもあるが、電気自動車が増えてきたこともあり、Aクラスでも『EQA』をラインナップし好評であることから、ガソリンとディーゼル、そして名前は違うが電気自動車のEQAとAクラスゾーンでは住み分けている」と説明した。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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