高校生が開発するスマート盲導杖が最優秀賞! 社会実装を加速…ゼネテック「DXチャレンジ2022」

ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」
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  • ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」で「スマート盲導杖」を提案する高田悠希さん
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  • ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」で「スマート盲導杖」を提案する高田悠希さん
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国内メーカーや自治体などが組んで産官民で手がけるような、新たなパーソナルAIモビリティ計画が、企業のビジネスプランコンテストを経て社会実装に向けて動き出した。しかも、ここまで計画・開発してきたのは、高校2年生たったひとりで、だ。

群馬県立高崎高校2年生の高田悠希さんは、ゼネテックが主催するビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」の最終選考10組に選ばれ、12月17日の最終プレゼンに挑み、見事、最優秀賞(1点)を受賞。7分間のプレゼンで審査員や観客を惹きつけ、賞金500万円を手にし、さらに社会実装に向けて加速させる。

◆視覚障害者の道を照らす「スマート盲導杖」

ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」で「スマート盲導杖」を提案する高田悠希さんゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」で「スマート盲導杖」を提案する高田悠希さん

高田さんが開発・試行している事業名は、「MichiTERASU~障害者の方の生活に根差したAIが社会を照らす~」。全国にいまだ多く残るホームドアのない駅ホームや、音響式信号機のない横断歩道などで、視聴覚障害者の交通事故も減らせないでいるなか、高田さんは、環境整備の行き届いていない地域でも、視聴覚障害者の危険を検知し、事故を防止できる「スマート盲導杖」(スマートもうどうづえ)を開発した。

AIを搭載したスマート盲導杖は「人がいます」「線路あり」「横断歩道あり」と音声によって視聴覚障害者に伝えるステッキ。高田さんは、歩行中の横断歩道や駅ホームを視聴覚障害者の視点でとらえるべく、視覚障害者が使う白杖(はくじょう)とカメラを持ち歩き、街の路上や駅ホームを撮影。数千枚もの画像を集積し、データセットを自作、AIモデルを作成した。

さらに、AIモデルと3次元加速度センサーなどを組み合わせ、「右に戻してください」と通知し横断歩道踏み外し防止や、渡りきり通知機能などを実装。試作ボディも高田さん自ら3D CADで設計し、実際に視覚障害者によるユーザーテストも重ね、「高い評価を得た」という。

◆自治体と連携した道路環境整備も提案

高田さんはこうしたパーソナルAIモビリティの開発にあわせ、インフラ側の改善も高田さんは提案する。全国に7万か所以上ある危険な通学路について、「地方自治体は、事故が置きた場所から整備している」と伝え、視覚障害者から危険と思われる場所を、スマート盲導杖で撮影し、データを集積、自治体などと連携・共有して道路とその周辺の環境を整備する計画も提案し、審査員や観客たちが共感と期待の拍手を送った。

ゼネテックは、デジタルツインやAI/IoT技術、車載システムやデジタル家電などのソフト・ハードのシステム開発、災害時位置情報受信アプリ「ココダヨ」などをリリースするIT企業。同社が初めて主催するビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」には、115組もの応募があり、エンジニアや経営者、クリエーター、学識経験者などが審査する予選を経て、学生部門4人(組)、一般部門6人(組)の合計10組が最終プレゼンに挑戦。そのなかで見事、高校2年生の高田さんが最優秀賞に選ばれた。

◆新規性・課題解決性・事業実現性の3点を重点に総合的に審査

ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」ゼネテック ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」

ゼネテックは、同社の「人と地球にやさしい、サステナブルな社会をデジタル技術で実現」をめざし、同コンテストを企画。将来を担う若手技術者・起業家の発想力を伸ばし、そのアイデアを生かす環境を創造することで、応募者といっしょに「人と地球にやさしい社会の実現」「日本の製造業の復活」をめざしていくという。

審査員長は一橋ビジネススクール 楠木建 教授、審査員は、佐藤総合法律事務所 佐藤明夫 代表、電気通信大学 坂本真樹 副学長、工学院大学 蒲池みゆき 副学長、情報通信研究機構 東川玲 デプロイメント推進部門長、経済産業省 内田了司 情報技術利用促進課長。審査は、「新規性」「課題解決性」「事業実現性」の3点を重点に、総合的に審査した。

楠木建 審査員長は「今回の最終プレゼンでは、ふたつの優れた点があった。ひとつはプレゼンテーションの質と多様性。年齢も学年も経歴も、視点もバックグラウンドも違う、多様なプランとプレゼンテーションがとてもすばらしかった。ふたつめのすばらしい点は、ゼネテックの金払いがいいというところ(笑)。賞金の金額が大きくて、気前がいい。これも大切。こうしたコンテストは来年も続けてほしい」と伝えた。

また審査中には、中西健治 衆議院議員による基調講演「日本社会の現状と飛躍する未来への展望」や、インプレス 編集主幹 田口潤 IT Leadersプロデューサー、QAL startups 高松充 CEO、SUPWAT 横山卓矢 CEO、ゼネテック デジタルソリューション本部 松野知愛 本部長によるパネルディスカッション「Startup or Die~もはや選択肢はない!?~」なども行われ、来場者はトークに聞き入った。

《レスポンス編集部》

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