大雨で交通が分断、都市災害に対する責任の在り処【ベンガルール通信 その21】

歴史的な大雨により都市交通が分断される事態に

洪水を招いた原因となった不法建造物の一掃キャンペーンが突如スタート

700か所にも上る不法侵害の責任はどこににあるのか

この程度の冠水は日常の風景
  • この程度の冠水は日常の風景

2022年9月初旬、日本では南西諸島付近に台風11号が居座っていたころ、当地ベンガルールも大雨に見舞われていた。

IMD(India Meteorological Department、インド気象庁)によると、1981年から2020年の降水量は年平均1000mmに満たないそうだが、例年なら最も降水量の多い9月、10月を含む4カ月を残して本年は既に1600mmに達し、1947年以来の観測史上最大値に至ったという。10月以降もまとまった雨が見込まれるとの注意喚起がなされているから、果たしてどこまで記録が伸びてしまうのか。経験則の2倍にも至る気象変動が都市機能にどう影響するか、家族や仲間の安全、身の処し方も含めて注視しておく必要がある。

元来、気候の良さが取り柄の当地。これまでは特定の数か月に限って夕立や夜半にさっと降る程度の雨が中心だったから、何日も続く激しい雨は経験がない。都市そのものが標高900m超のデカン高原の南端にあり限られた河川を水源としているため、むしろ周辺地域との水利問題が絶えないのが常。取水量による争いが暴動に発生して戒厳令により外出が制限された経験は何度かあるが、「水余り」による混乱は初めてだ。歴史的には水不足に備えて溜池が各所に設けられていて、その水位が季節の変化を知る指標にもなっている。


《大和 倫之》

大和 倫之

大和倫之|大和合同会社 代表 南インドを拠点に、日本の知恵や技術を「グローバル化」する事業・コンサルティングを展開。欧・米の戦略コンサル、日系大手4社の事業開発担当としての世界各地での多業種に渡る経験を踏まえ、シンガポールを経てベンガルール移住。大和合同会社は、インドと日本を中心に、国境を越えて文化を紡ぐイノベーションの実践機関。多業種で市場開拓の実務を率いた経験から「インドで試行錯誤するベースキャンプ」を提供。インドで事業を営む「外国人」として、政府・組織・個人への提言・助言をしている。

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