日立製作所は、鉄道において車いすや白杖などの利用者を対象とした、列車乗降サポート業務をトータルに支援する「移動制約者ご案内業務支援サービス」をクラウドサービスとして、8月9日より提供を開始した。
このサービスは、電話や口頭伝達を主とする列車乗降サポート業務のプロセスを電子化し、利用受付から駅係員間の連絡・引継ぎ、乗降サポートの実績管理といった一連の業務を、スマートデバイス上で完結できるシステムを提供する。
従来、車いすや白杖などの利用者が列車を乗降する際は、乗降駅係員の習熟した連携作業によって安全・利便性が保たれてきた。一連の案内業務は、乗車駅より電話連絡を受け、降車駅の係員が詳細を紙の連絡票に記録し、記録内容を参照しながら、ホームで当該の利用者を迎える流れとなる。
そのため、連絡不備の防止や限られた人員でのサービス品質の向上など、利用者のための安全安心な環境整備と係員の業務負荷軽減が課題となっている。
こうした課題を受け、日立製作所は2017年に西武鉄道と共同で、「車いすご利用のお客さまご案内業務支援システム」を開発した。使い勝手の検証やシステムの強化を行ない、2020年には小田急電鉄で「お客さま介助システム」として導入するなど、実績を重ねてきた。
今回、SaaS(Software as a Service)化したことで、初期導入負荷をさらに軽減し、今後は幅広く鉄道事業者への提供を開始する。紙の連絡票への記入・管理で行われていたアナログ作業を最小化し、スマートデバイスで情報をリアルタイムに共有することで、「ヒューマンエラー発生の低減」と「駅係員の対応効率化、負担軽減」を実現する。
なお、このサービスは6月より、九州旅客鉄道(JR九州)の「JR九州あんしんサポートネット」のシステム基盤として、先行して提供開始されている。
