自動車流通業界における新たなチャレンジ – Honda Cars川越 山田美行氏[インタビュー]

自動車流通業界における新たなチャレンジ – Honda Cars川越 山田美行氏[インタビュー]
  • 自動車流通業界における新たなチャレンジ – Honda Cars川越 山田美行氏[インタビュー]

自動車流通業界が大きく変わろうとしているなか、地域に根差した多様な業容への取り組みによって、安定した成長を続けている エクストフェデレーション代表 兼 ホンダプロモーション(Honda Cars川越)代表取締役社長の山田美行氏に聞いた。

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ディーラー・飲食・パチンコの異業種展開

---:まず、御社がどのような会社かをご紹介いただけますか。

山田:はい。弊社はエクストフェデレーションと申します。グループ形態をとっており、「EXT-FEDは若い感性を基本とした無限の知恵と卓越した行動力をもって 常にお客様の喜びを創造しそれをまた自らの喜びとしつつ 発展し続けていこうとする創意人間集団である」という企業理念のもとグループ全体をまとめています。

埼玉県中央部を中心として、5社、拠点にすると83ヶ所にわたって展開しています。業態としては、自動車事業・飲食事業・レジャー事業の3つに分かれています。

自動車事業(2社)に関しては、(株)ホンダプロモーションとして、Honda Cars川越を6店舗、中古車店を2店舗運営しています。そして、(株)ジュネスエンタープライズとして、自動車板金塗装店を1店舗運営しています。

飲食事業(2社)に関しては、(株)ニュー富士として、うなぎ料理・和食を提供する「大穀」を10店舗運営しています。また、日本武道館や、西武ライオンズの本拠地「ベルーナドーム」、冠婚葬祭に関する会などでお食事を提供するケータリング事業を行なう部門を1店舗運営しています。そして、(株)ニューフジフーズサービスとして、官公庁・学校・一般企業など約60の食堂での受託運営や、地域のお客様へのお弁当配達事業も行なっています。

レジャー事業(1社)に関しては、(株)シーアールスポーツとして、パチンコ店「スカイプラザ」を3店舗運営しています。

グループの総売上は2020年度111億8100万円で、内訳は、自動車事業が66億2000万円、飲食事業が26億1100万円、レジャー事業が19億5000万円です。

---:幅広く事業を展開されていますね。

山田:はい。弊社には53年の歴史があります。自動車事業を始めたのが1968年。そこから飲食事業と自動車事業を双方伸ばしてきまして、1986年にレジャー事業に進出しました。

弊社会長が「サイコロのように、どのように転がってもどこかが表になるように」と、事業を広げてきました。飲食事業に参入したのは、メーカーになりたいという思いがあったからです。定価や原価を自分たちで設定し、店舗展開に関しても自分たちで行えるなど、メーカーになる夢を叶えるためには飲食店が最適でした。

私たちは、「お客様とのつながりこそが宝物」という考えを大切にしています。常にお客様に寄り添う存在でいること、経費などはすべてお客様にお喜びいただくために用いることなどを信念としています。また、地道で真面目な姿勢を常に心掛けて邁進しています。

---:飲食事業に進出されたのは、自動車販売事業を始めてから4年後ですね。短い期間で新しい業態を始められていますが、どのような動機だったのでしょうか。

山田:弊社会長は、本田技研に10年勤務し、車体の組立工場や自動車販売会社に対しての営業活動、仕入れなどを経験してきました。その中で、自分自身でもメーカーを築いていきたいという思いがあり、早々に飲食店を立ち上げた次第です。

---:飲食以外にも選択肢はあったと思いますが、飲食に対する思い入れがあったのでしょうか。

山田:はい。会長は農家の三男坊で、子どもの頃から農業に携わっていました。木になっている柿を取って食べたり、飼っているヤギのミルクを飲んだり…そのようなことを幼少期から経験してきました。それが元となり、新鮮なものや美味しいものをより多くの人に召し上がってもらいたい、という想いに繋がったと思います。

---:自動車ディーラーも飲食事業も、会長の想いや経験値が事業に現れているということですね。

山田:そうです。それがきっかけです。

---:なるほど。レジャー事業参入したのはそれから14年後ですが、これは何かきっかけがあったのでしょうか。

山田:予期せぬことが起こり得る不安定な世の中で、自動車事業は収益が伸び悩み、飲食事業も原価率の高騰などが原因となり、収益が伸び悩むことがありました。そこで、既存事業とは異なる事業を立ち上げることでグループとしてのさらなる安定を図るべく、レジャー事業に参入しました。

主力事業を入れ替えながら成長

---:今の事業規模、売上のバランスを見ると、3つの事業がバランス良く売り上げに貢献しているようですが、当初からこのようなバランスだったのでしょうか。

山田:バランスが安定してきたのは近年になってからですね。バブルから10年~15年ほどは、レジャー事業が約60億円の売上でしたが、今ではそのパチンコ事業の売上はかなり縮小しています。

---:これは社会情勢によるものですか。

山田:弊社の実力不足が原因ですが、パチンコ台には国家公安委員会・警察庁管轄による規制がありまして、機械自体に制限をかけられているのが現状です。そうなると、やはり楽しめないと感じるお客様もいらっしゃるかもしれません。それにより、近年はお客様数が伸びなくなっているところもあると思います。

---:御社の事業全体としては、結構バランスが変わったのですね。舵取りは難しくありませんか。

山田:よくそのように言われますが、経営として考えますと、そこまで変わりはありません。

---:パチンコ事業の売上が減るにつれて、自動車流通は逆に大きく増やしていますね。簡単なことではないと思いますが、何か秘訣はあるのでしょうか。

山田:自動車事業に関しては、お客様がお困りの際に一番に頼れる存在でいられるよう、利益を優先させることなく、常にお客様に寄り添うことを心掛けています。また、何事にも地道に真面目に取り組むことを徹底していますので、そのような点において、お客様に信頼をいただいているのではないかと思います。

---:Honda Cars川越の店舗を増やしたのですか。

山田:いいえ、拠点数は変わっていません。

---:拠点数はそれほど変わらないけれど、売上を伸ばしたということですね。

山田:そうです。本当はもっと拠点数を増やしていきたいのですが、メーカーの制約があり、難しいですね。

---:そうすると、理念にある通り、既存のお客様とのつながりを大事にして売上を増やしてきたということですか。

山田:はい。

---:素晴らしいですね。レジャー事業の今後の見通しはどうですか。

山田:私たちとしては増やしたいと考えています。ただ世間情勢や環境の変化、パチンコ業界としての考え方もありますので、それらを見極めて進めてまいりたいと思います。

---:今後も3つの事業をバランスよく伸ばしていくのが主な方針でしょうか。

山田:はい。飲食も自動車も、今後新規出店を進めたいと考えています。5年後には別の事業を増やしているかもしれません。

異業種であってもコアは同じ

---:グループ全体を経営していくうえで重要なことはありますか。

山田:まず、働いているメンバーがしっかりとそれぞれの事業を守ってくれていることが大きいです。そして経営に関しては、飲食でも自動車でもパチンコでも、あまり変わらないと思っています。「お客様のことを真剣に考えることによって、やるべきことが見えてくる」という点においては、どの事業も一緒ではないかと感じています。

---:3つの事業それぞれのシナジー効果はありますか。

山田:シナジー効果は当然あります。自動車事業でお世話になっている本田技研の方々が、お客様として飲食事業のご利用・ご紹介をいただくことがあります。また、飲食事業でお世話になっている方が、お車を購入してくださることも多々あります。納車の際に、お客様へ和食店「大穀」のご利用券をプレゼントすることもありますし、お付き合いのある企業から食堂運営の受託を紹介いただくこともありました。

---:自動車ディーラーから、次に飲食やレジャー事業を立ち上げた際の苦労など、何かエピソードがあればお聞かせください。

山田:素人が作ることによって、逆に既成概念にとらわれずに新たなもの作り上げることができると思います。例えば、以前多くのパチンコ店では、店内を監視して回る店員が見受けられました。しかし、我々としては、当時からパチンコは接客業だと考えていました。ご来店いただいたことに感謝をしたり、楽しんでいただいているかどうか会話を通じて確認したり、世間一般のパチンコ店のイメージをガラッと変えようという思いでやってきました。

飲食業においては、以前から食に関して非常に探究心があったため、母と一緒に試行錯誤をくりかえしてきました。私自身も料理を真剣に学び始めて18年になるのですが、今後もそれを継続し、すべてのお客様にご満足いただける料理を追求したいと考えています。

---:社長ご自身が料理人でもあるのですか。

山田:はい、そうです。

---:自動車ディーラーの経営をしながら料理人でもあると。

山田:はい。もちろんパチンコのことも分かるように、自ら経験しています。

---:なるほど。素人だからこそ、業界の先入観なしにお客様のことを第一に考えたということですね。自動車流通業界も新しいチャレンジをしなければならない時勢ですが、御社のように他事業展開で成功する秘訣はあるのでしょうか。

山田:とにかくお客様に必要とされる会社になることが、一番大切だと思います。それには、いかにお客様に寄り添うかが、特に自動車事業においては大事です。飲食事業においては、今後も原材料などに徹底してこだわり、本物を追求していきます。レジャー事業においては、パチンコ台だけに頼るのではなく、パチンコ台を介したお客様とのコミュニケーションを大切にしています。例えば、お客様からの「打っていてもつまらない」「出なくて不満」という声を、我々がどのように解決していくのか。ただ単に、台を置いて繁盛することはあり得ません。我々が生き残るためには、お客様の心に寄り添うことが肝要だと思っています。

---:勝っても負けても気持ちよく帰れる店、ということですか。

山田:負けて気持ちよくお帰りいただくことはなかなかできませんが、不満にならない・嫌いにならないように我々がどのように対応できるかが、パチンコ事業においてはすごく大切だと思います。

いつもお客様の心に寄り添うためには、お客様のその時のご様子やどう思われているかなどを、常に考えながら店作りをしていく必要があると考えます。

---:なるほど。飲食店についてはどうでしょうか。

山田:そうですね。飲食業は常に高みを目指しています。すべての料理において最高品質を目指していきたいです。お蕎麦に関しては、発売するまでに試作を180回繰り返し、完成して販売を始めた今でも、58回の改良を重ねています。

---:それは、そば粉の配分や打ち方などですか。

山田:そうです。配分・打ち方・太さなどです。メインであるうなぎに関しては、創業当初からタレを1000回以上更新しています。

---:1000回ですか。執念を感じますね。

山田:はい、探求心というか執念ですね。「より美味しいものをお客様にお召し上がりいただきたい」という一心です。そこを目指して探求していくのが我々の役割だと考えています。

---:タレと言っても、醤油と砂糖とみりんといった限られた材料ですよね。銘柄や配合を変えるということですか。

山田:そのほかにも煮詰める時間を変えるなど、複合的な要素があります。これは自動車でもパチンコでも同じで、探求することが大事だと考えています。探求は、モノに対してだけではなく、お客様の心の中にどれだけ寄り添っていけるかということでもあります。

---:そうなると、営業マンの人間力が問われそうですね。

山田:それに頼るとまた難しいのです。営業スタッフの人間性や能力はそれぞれ素晴らしいですが、そのままお客様対応をして車が売れるのかといえば、そうではありません。

車を安定して販売するためには、お客様にご納得いただけるかどうかが大切だと考えます。今は1台の車を長い間乗られるお客様が多いので、そのようなお客様に対しても、デザインや機能がグレードアップした新車を体験していただいたり、その行動の重要性を営業スタッフにも伝えていくことが我々経営側の役割と考えています。

そして、営業スタッフもそれぞれ育ってきた環境が異なりますので、知識や教養を高めるためにどうすればよいかを考え、教育しています。飲食事業・レジャー事業においても同様に、すべてに通じる社員教育を実施しています。

---:人間力のある営業マンになるためのサポートをしているのですね。

山田氏が登壇する無料のオンラインセミナー自動車流通業界における新たなチャレンジ~Honda Cars 川越・横浜トヨペットの取組み~は7月26日(火)正午申込締切。
《佐藤耕一》

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