三菱自 加藤社長、22年度増収増益見込みも「先行きを見通すのが困難な1年になる」

三菱自動車工業、2021年度の連結決算を発表
  • 三菱自動車工業、2021年度の連結決算を発表
  • 三菱K-EVコンセブトXスタイル
  • 三菱アウトランダー北米仕様
  • 三菱ミニキャブミーブ
  • 2022年度業績見通し
  • 2022年度販売台数見通し
  • 電動化の加速

三菱自動車工業は5月10日、2021年度の連結決算を発表。加藤隆雄社長兼最高経営責任者(CEO)はその会見で「決算内容はそこそこ満足いくようなものになってきた」と評価した。

売上高は前年度比40.1%(5834億円)増の2兆389億円、営業利益は前年度の953億円の赤字から1826億円増の873億円、当期純利益は同3123億円の赤字から3863億円増の740億円となった。中期経営計画で掲げた利益目標を1年前倒しで達成した。

グローバル販売台数は前年度の80万1000台から13万6000台増の93万7000台。同社が主力としているアセアン市場をはじめ、豪州・ニュージーランド、北米、中南米・中東・アフリカで大きく伸びた。

アセアン市場はゼロコロナからウィズコロナに各国政府が政策転換した2021年末から需要が回復に転じて、32%(6万1000台)増の25万台を販売。豪州・ニュージーランド市場は新型『アウトランダー』の販売好調などで、35%(2万5000台)増の9万7000台。北米市場も新型アウトランダーが年度を通じて好調に推移したことで、38%(4万3000台)増の15万6000台の販売だった。一方、ホームグランドの日本は微増の7万5000台、中国と欧州は減少した。

2022年度の通期連結見通しは売上高が21年度比12.3%増の2兆2900億円、営業利益が同3.1%増の900億円、当期純利益は同1.3%増の750億円。グローバル販売台数は横ばいの93万8000台。アセアン、日本市場で販売を大きく伸ばす計画だが、欧州が大きく減少する見込みだ。

22年度は中期経営計画「スモール・バット・ビューティフル」の締めくくりの年で、加藤社長によると、独自技術とアライアンス技術の融合を進めて環境対応車のラインアップをさらに強化していくという。

具体的には、日産自動車と共同開発の新型軽乗用車EVをまもなく発売するほか、軽商用車EV『ミニキャブ・ミーブ』を秋に販売再開する予定だ。また、中国では3月に市場投入した新型EV『エアトレック』の販売拡張を目指す。

とは言うものの、部品不足や資材費高騰、物流の混乱、さらにロシア・ウクライナ情勢と不安要素が山積。半導体不足について、池谷光司副社長兼CFOは21年度に約12万台、営業利益で約360億円の影響があったと明らかにし、22年度についても10万~11万台、営業利益で約330億円の影響が出るとの見通しを示した。

「22年度は先行きを見通すのが困難な1年になる。ロシア・ウクライナ問題も引き続き見通せない。中国のロックダウンの先行きも不透明だ」と加藤社長は述べ、「問題解決にはまだ時間がかかる」と強調した。

三菱自動車はロシアで欧米の自動車メーカーであるステランティスと合弁でSUVを生産していたが、ロシアに対する経済制裁や物流網の混乱などにより4月から停止。加藤社長はそのロシア事業について「私たちのレベルではどうなるか予想するのは非常に難しい。回復には相当な時間がかかるだろうし、事業としてどうやっていくのか、なかなか判断がつきかねる」と頭を抱えていた。


《山田清志》

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