新型車が生まれるまでの道のり---構想・企画・開発・完成

『自動車の企画と開発』
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自動車の企画と開発
構想から完成までのプロセス
著者:工学博士 堀 重之
発行:グランプリ出版
定価:2200円
ISBN978-4-87687-393-7

自動車はどのようにして企画され、市場に投入されるのか。自動車メーカーで開発責任者を務めた著者がそのプロセスを語る。

商品は突然出現するものではなく、つくり出そうとする動機や発想がある。それを具体化する計画を「企画」と呼び、これに基づいて開発が行なわれる。本書は、自動車会社のチーフエンジニアとして、数多くの自動車の企画と開発の業務に携わった著者が、その経験を基に、どのように自動車が企画、開発され世の中に現れるのかを、具体的な事例を交えながら紹介。自動車の開発に興味のある方はもちろん、開発従事者にもオススメの一冊である。

その企画といっても様々な要素がある。それはフルモデルチェンジである場合と、新規投入車種でも違ってくるし、市場から求められる場合と、新たな市場を作り出すクルマでも変わる。そういった様々な企画のスタートからコンセプト作りが始まり、それをもとにデザインの方向性やコンセプト。そして、商品性としてポジショニングやターゲットユーザーといったマーケティング戦略などが組み立てられていく。

同時に、設計、工場での組み立て要件、さらには原価販価をはじめとした収益性なども検討され、1台のクルマが誕生していく。それら全体を見ているのが開発責任者、あるいはチーフエンジニアといわれる人だ。著者はトヨタにおいてチーフエンジニアを長年経験したことから、その経験をもとに実際に目の当たりにした問題点を含め語られている本書は貴重な一冊といえる。そして、新型車の発表においてはチーフと名の付く人たちが登場し、アピールするが、その陰にはもっと多くの人たちがそのクルマの開発に情熱を持って取り組んでいることを忘れてはならない。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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