電車内で不審者が刃物を振り回し放火…東京メトロで異常時想定訓練

東京メトロで異常時想定訓練
  • 東京メトロで異常時想定訓練
  • 報道陣の居るセンター中央駅に向かって進入してきた列車。ホームには事件を知らない客が電車を待っている。
  • 車内ではパニックが起こり、窓を開けて助けを求める乗客もいた。
  • 駅員は乗客に対し、誘導場所や避難指示などを大声で知らせていた。
  • ホームドアには手動開閉ボタンが用意されており、駅員が操作し全開扉していた。
  • ドアが開いた瞬間、乗客が飛び出してくる様子。
  • 乗客がスムーズに待避できるように、駅員は避難場所の指示を叫んでいた。
  • 不審者が放火したため、煙が出ている設定でスモークが炊かれている。リアリティを持たせた状況下で訓練が実施されていた。

東京メトロは12月22日、事故・災害等の発生時における関係社員の初動対応、お客様の避難誘導における迅速・適切な対応等を主眼とした異常時想定訓練を東京メトロ総合研修訓練センター(東京都江東区)で実施した。

訓練の内容は、「車内で不審者が刃物を振り回し、車内に放火する事象が発生、他のお客様により非常通報装置が操作された後、ホームドアと列車のドアがずれた位置に停車した」という想定で行われた。

不審者と警察が対峙。不審者と警察が対峙。

異常時想定訓練が行われた総合研修訓練センターは、実際の駅構内が再現されており、訓練線ホームには、ホームドアが設置され、道先案内板や待機車両など、一般の駅構内と全く変わらない。東京メトロによると、リアルな環境下で訓練を行うことにより、実践的な対処方法が身につき、社員が異常時にしっかりと対応できるようになるとのこと。

センター西駅を出発した列車内で不審者が刃物を振り回したという設定だった。センター西駅を出発した列車内で不審者が刃物を振り回したという設定だった。

訓練とはいえ、実際に列車を運行させ、その運行中に不審者が暴れ出したという設定で行われているため、報道陣が車内の様子を撮影することは出来なかった。

使用された列車は3両編成で、2号車で不審者が刃物を振り回し、オイルを撒き、ライターで火を付けたという設定のため、乗客は1号車と3号車に逃げ集まっている状態。そんな状況の中、列車がホームに進入してきたが、運転士が非常ブレーキを操作したため、所定停止位置より3m手前で停車してしまい、ホームドアと車両ドアはズレが起きてしまっていた。

それでも、乗客の避難誘導を優先させるため、駅員がホームドアを手動スイッチにより全開扉し、乗客を安全な改札方向へ誘導する。駅員は避難誘導のほか、車内状況の確認、不審者に対して『さすまた』を構えるなど、対応しなければならないことがたくさんあり、各駅員が現場の状況をしっかり判断してから行動することが求められていた。また駅員は状況の報告などを行う現地対策本部を設置し、各駅員から報告される情報を集約。警察は到着次第すぐに不審者と対峙し、不審者がホームに下車したところで取り押さえていた。不審者を確保したあと、消防は車両内の消火活動を開始。ホーム上では救急隊が救護活動を行っていた。最終的には、鎮火を確認し、転落客や残留客がいないかの確認、そして安全確認の報告が行われたのち、車両を所定停止位置に移動し訓練は終了となった。

乗客がスムーズに待避できるように、駅員は避難場所の指示を叫んでいた。乗客がスムーズに待避できるように、駅員は避難場所の指示を叫んでいた。不審者が放火したため、煙が出ている設定でスモークが炊かれている。リアリティを持たせた状況下で訓練が実施されていた。不審者が放火したため、煙が出ている設定でスモークが炊かれている。リアリティを持たせた状況下で訓練が実施されていた。確保された不審者にはすぐ手錠が掛けられる。確保された不審者にはすぐ手錠が掛けられる。車両内のけが人を消防隊が救出。車両内のけが人を消防隊が救出。ホーム内に設置された現地対策本部には、逐一状況が報告される。ホーム内に設置された現地対策本部には、逐一状況が報告される。

◆事件を完全に防ぐということはできないからこそ訓練を行っている

訓練終了後、安全・技術部次長 木暮敏昭氏は、今回の異常時想定訓練についての取り組みについて以下のように語った。

囲み取材では安全・技術部次長 木暮敏昭氏が、質問に答えた。囲み取材では安全・技術部次長 木暮敏昭氏が、質問に答えた。

「列車内は、お客様の安全を守ることだけではなく、利便性も提供しなければならない。そういった車中で事件が起こるということは、鉄道サービスに対する極めて挑戦的な事件だと思っている。我々としてはそのような事件の抑止のために、いろいろな取り組みを進めてはいるが、完全に防ぐということはできない。だからこそ、今日ご覧いただいたような訓練を行っている」

「今回は未経験の事象を想定しての訓練だったので、ホームドアと車両ドアがずれた場合という設定で行い、現場での乗務員や駅員の判断で、できるかぎり迅速な人命優先の対応はこれであろうという方法を模索したうえで訓練を行った」

本来であれば、国交省やほかの鉄道事業者とも同意を取り、統一した対応の仕方を策定していかなければならない問題だという。「現状では統一の対応策はないため、現時点で我々としてできることはこれだという対応策で訓練を進めた。今後も関係機関などからの意見等を聞きながら対応策を定めていきたいと考えている。そして統一の対応策が決まり次第、改めて社員に教育や訓練を行い、継続していく必要があると考えている」。

実施した訓練については、現状考えられる最善の対応になったと考える。「我々のできる最善の対応はどのようなものかを考え、各関係部門で議論をして作り上げてきた対応策なので、ひととおりの流れとしては、現状考えられる最善の対応になったのではないかと考えている。これから年末年始を迎えるということで、想定外のことが起こりうるかもしれない。そのため鉄道の警戒・警備は引き続き強化をしていく。もし有事が起こった際には、消防・警察への迅速な通報、またお客様や社員を守るための行動が瞬時にできるように、訓練だけでなく、日常的な注意喚起も全社員に行っていく」。

《関口敬文》

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