業界最軽量の電動ママチャリ、パナソニックが発売…19.9kgで12万5000円

パナソニックの業界最軽量電動ママチャリ「ビビ・SL」
  • パナソニックの業界最軽量電動ママチャリ「ビビ・SL」
  • カルパワードライブユニット
  • 柏原工場
  • 柏原工場の溶接ライン

パナソニックは10月4日、ショッピングモデル、いわゆるママチャリで業界最軽量の電動アシスト自転車『ビビ・SL』を12月3日から販売すると発表した。新しいカルパーワードライブユニットを搭載したモデルで、重量が19.9kg、価格が12万5000円だ。

電動アシスト自転車の国内市場は直近の5年間で年平均9.6%拡大し、新型コロナウイルスの感染拡大が起こった2020年は前年比15%増の約82万台に拡大した。その中にあってパナソニックは年平均12.0%も拡大し、2020年は過去最高の販売台数を記録した。シェアも約45%とトップで、販売台数のうち半分がママチャリだという。

しかし、電動アシスト自転車は重いので軽くしてほしいというユーザー、特に主婦層からの要望が多かった。「なんとしても電動アシスト自転車が重たいという常識を変えたかった」とパナソニックサイクルテック開発戦略担当の中田充生統括部長と話し、今回の自転車では何としても20kgを切ることを目標にした。

それは苦労の連続だった。モーターを900g軽くしたが、「軽量化すると、強度が低下してしまう。この課題を解決するために、最新の解析方法を駆使して質量減をしながら強度を下げない形状工夫を取り入れた」(中田統括部長)そうだ。

また、基板はアナログ回路を減らし、デジタル方式を取り入れることで、部品点数を削減。フレームはアルミの一体成形で軽量化を行い、前方のカゴについてはカーボンを配合した樹脂を使用した。「そのほかの構成部品についても1gにまでこだわり設計した」と中田統括部長。

乗り心地についても、格段に良くなったそうだ。新制御であるカルパワードライブユニットによって、アシストの力強さはそのままに、より軽く、快適な走行が可能になった。坂道では、ぎくしゃくしたペダリングをモーターが補いながらアシスト。こぎ出し時は、平地や坂道、荷物の有無などの負荷を検知し、最適なアシスト力に調整するとのことだ。

サドルの高さも乗りやすくするために従来品より約5cm低くし、最低地上高67cmにした。そして、シート角は従来品より寝かせ、サドルの位置を相対的に後退させた。これによってベダリング時の膝の曲げ伸ばしの負荷を軽減し、より楽しく漕ぐことができるようにした。

また、電動アシスト自転車を製造する柏原工場(大阪府柏原市)をリニューアル。「高性能センシング機能を活用し、徹底した工程管理による品質確保と組立の自動化による高効率生産を実現した。また、ロボットの溶接の自動化により安定した品質と生産性向上と省力化を実現した」とパナソニックサイクルテックの稲毛敏明社長は説明する。

その結果、従来の3割増の出荷にも対応可能な体制になった。そのほか、環境面にも配慮し、節水型被膜処理設備では、従来工法比で使用水量を大幅に削減、粉体塗装設備ではVOC(揮発性有機化合物)排出量ゼロを実現した。

パナソニックは今回の最軽量電動ママチャリと柏原工場のリニューアルによって、電動アシスト自転車市場で盤石の体制を築こうとしている。

《山田清志》

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