【EV・PHEV特集】今さら聞けない?EVとPHEV、その違いとメリットとは

EVの航続距離は400km前後まで伸びてきた

EVからの電気で数日間は暮らすことも可能

単なる移動手段としてだけではない価値

EVやPHEVの電池を使い、家庭の電力をまかなったり、災害時の非常用電源とすることも。写真はホンダeによるV2Hのイメージ
  • EVやPHEVの電池を使い、家庭の電力をまかなったり、災害時の非常用電源とすることも。写真はホンダeによるV2Hのイメージ
  • 日産 リーフ
  • 「日産リーフ」からの電力供給イメージ図
  • 自動車メーカーと地域の災害連携協定も進んでいる
  • トヨタ自動車の超小型EV「C+pod(シーポッド)」
  • 三菱自動車は新型『アウトランダー』のPHEVモデルを今冬に発売する予定
  • 車内に備わるAC1500Wのコンセント。家電の使用も可能だ。(写真は三菱のPHEV)

プラグインハイブリッド車(PHEV)も電気自動車(EV)と同じく、日常的には電気だけで走行できる。モーターのみの走行を40~100km程度確保しているからだ。世界的に、一日に乗用車が走る距離は40kmほどとされている。遠出する際は、ハイブリッド車(HV)としてエンジンも利用しながら途中で充電せず走れる利便性を備える。

EVの航続距離は400km前後まで伸びてきた

日産 リーフ日産 リーフ
今日ではEVも1回の充電で400km前後走れるようになってきた。遠出する場合でも、たとえば都内から箱根辺りの往復なら充電せずに戻ることができる。日常においても、日々の利用が40km前後であるなら週に1回充電する程度で間に合うだろう。しかも自宅で充電できればガソリンスタンドに立ち寄る必要がない。

自宅に太陽光発電を設置すれば、家庭内の電気だけでなく、EVやPHEVの充電も再生可能エネルギーで賄え、言葉通り脱二酸化炭素がかなう。

EVからの電気で数日間は暮らすことも可能

「日産リーフ」からの電力供給イメージ図「日産リーフ」からの電力供給イメージ図
さらに、国産のEVや一部のPHEVは、充電した電力を家庭へ戻すことができる。太陽光発電で充電した電力を夜間に自宅で利用できる。また自然災害などで万一系統電力が停電した場合には、EVなら数日間はEVからの電気で暮らせる。

近年は、FCVやHVからも、災害時に電気を取り出し家庭電化製品を使えるようにする機能が出はじめたが、東日本大震災の折に首都圏で実施された輪番停電のような措置が行われた際、EVなら電気が使える間に充電しておけば、電気を使い続けることができる。

冷蔵庫やスマートフォンを普段通り使いえることは、災害時の暮らしの安心につながる。しかしFCVやHVは、燃料が切れたら電力供給はできなくなり、スタンドまで行かなければならない。

単なる移動手段としてだけではなく、暮らしの電力を保証する備品となる

車内に備わるAC1500Wのコンセント。家電の使用も可能だ。(写真は三菱のPHEV)車内に備わるAC1500Wのコンセント。家電の使用も可能だ。(写真は三菱のPHEV)
EVこそが日常的にも災害に際しても、暮らしの電力と密接につながり、家族の不安を解消してくれる。クルマの環境性能だけ考えると、同じように見えたり、大差ないように感じたりするかもしれないが、EVは単なる移動手段としてだけでなく、暮らしの電力を保証する備品でもあり、根本的に価値を新しくするものだ。

そして充電機能を持つPHEVも、EVに近い価値を部分的に備え、クルマの電化の時代へ向け未来を実感できる一台といえる。

《御堀直嗣》

御堀直嗣

御堀直嗣|フリーランス・ライター 玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。

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