ポルシェ認定工場2社が見据える、BP事業の展望…ソフト99オートサービス×わたびき自動車工業

安全性や走行性能向上の観点から、素材・電子デバイスを中心に日々進化するクルマ。クルマ自体の進化と同時に「修理」も高度化しており、最先端の高級スポーツカーであれば、その性能を担保するため厳格な修理品質が求められるようになっている。

ソフト99オートサービス(大阪市中央区)とわたびき自動車工業(埼玉県戸田市)の2社の鈑金事業者は6月、ポルシェジャパンが定めるボディショップ認定を取得した。今年の認定取得は2社が初めてで、国内ではEPMカーエクステリア、GBF、新和自動車、ヤナセオートシステムズ中部営業部、綿貫自工に加えて7社目の認定工場となる。


◆ポルシェ認定BP工場とは?

ポルシェBP認定は、同社が承認する修理設備・機器の保有や、専門の知識・技術を要する作業者の在籍などを監査し、メーカーが定める基準に則った修理が可能なBP工場を認定する制度。世界的な認証機関テュフ・ラインランド・ジャパンが監査を務めている。

近年、自動車は従来のスチールに加え、アルミやマグネシウム、CFRPなどボディ素材の複合化が進み、また、その修理の際の接合技術も、従来の溶接にとどまらず多様化。ポルシェでは、911や718(ケイマン、ボクスターなど)、カイエンといったマカンを除く現行モデルでこうした複合素材で構成されるマルチマテリアルボディを採用している。

その中でポルシェジャパンは、「正しい知識と技術を持った認定作業者が適切な設備機器を使用して初めて、本来の状態に復元され、純正時の乗員保護性能や安全性能が維持される。高い品質の修理を提供することで、顧客にはリピーターになってもらい、クルマが再修理でBP工場に戻ってこないことを目指している」(ポルシェジャパン担当者)として、2017年に認定制度を構築した。

実際ポルシェでは、マルチマテリアルボディが損傷した際、従来のスチールボディと同様のボディ修正機での再成形を許可せず、基準を超えた損傷では部品交換と定めている。その損傷具合の測定基準も、ポルシェが承認した3Dデジタル測定器(2メーカー2機種のみ)による測定で±2mm(を超えた場合は部品交換)と厳格だ。

この「メーカー基準の修理」を適切に行えるのが認定BP工場となる。認定にあたっては、設備環境はもとより、作業者もメーカーによる技術研修を受講して認定される必要がある。修理、損傷具合の計測に必要なボディの詳細データを取得できるのも認定BP工場のみで、ポルシェの複合素材ボディの構造部に関わる修理は、認定工場でなければ許可されなくなっているのだ。

◆取得した2社が見据える鈑金事業の展望

自動車の修理が高度化する中で、今回認定取得した2社のように修理工場も対応を進めている。

輸入車系ディーラーから依頼された修理を中心に、貴重なクラシックカーのレストアなども手掛ける修理工場「わたびき自動車工業」は、創業100年超の老舗。今回、ポルシェディーラーからの推奨もあってポルシェBP認定を取得したが、それに先立ち、同じくテュフの鈑金塗装工場やクラシックカーに関する認証も取得し、修理品質を対外的に打ち出す取り組みを進めている。

各種認定・認証の取得にあたっては、調色室の新設や危険物倉庫の刷新、照明のLED化、床面の塗り直しのほか、スポット溶接機やカーリフトなどの修理機器も新調し、大規模な設備投資を実施。「高い修理技術を保有しているだけでは事業として継続していけない。コンプライアンス意識や修理技術の高度化に対応するとともに、その技術・品質を伝える努力もしなければいけない」と、綿引大介代表は事業継続に向けた意欲を語る。




一方、ソフト99オートサービスでは、ポルシェ以前からボルボやBMW、ミニ、メルセデスベンツなど幅広いメーカー・ディーラーの認定・指定を取得、継続している。その狙いについて、「自動運転化を背景に修理の高度化が進む中、各メーカー・車両の修理で専用の設備・技術を要するケースが増えてきている。それぞれの認定取得を通じ、確かな品質・専門性を持ったBP事業ということを打ち出していきたい」と話す小宅一相談役。

この事業としての戦略と同時に、社員のモチベーションの面でもこうしたメーカーの認定制度に期待を寄せる。「クルマが変化し、事故修理自体が減ってきている中、鈑金塗装という仕事で夢を語りにくくなっている部分もある。各メーカーの専門性を有した“確かな技術水準の仕事”ということを社外の人にはもちろん、社内のスタッフにも示すことで安心感を与えられたら」とBP事業の展望を話す。






◆BPショップだからこそ可能なサービスも

高度な修理のみならず、この2社では塗装技術を活用した新たなサービスにも取り組んでいる。目下注力するのが、ボディ外装の美観・傷を保護するスプレー式ペイントプロテクションフィルム(PPF)「Fenix Scratch Guard(フェニックス・スクラッチガード)」だ。

フィルムを貼り付けるタイプのPPFが徐々に広まる中、同サービスは本格的な塗装設備を持ったショップでないと施工できない、施工費用がフィルムタイプに比べて高額という側面がある。それでも、「継ぎ目がない」「好きな色にカラーチェンジできる」といった特徴を強みに、高級車ディーラーでの新車販売時のオプションとしてのオーダーや、個人オーナーからの直接の依頼など、徐々に受注が増えてきているという。

昨年から同サービスの提供を開始した綿引代表は、「弊社では長年鈑金事業を営んでいるが、鈑金=事故時の修理がメインで、すなわち仕事の受注自体が受け身だった。スプレー式PPFでは、すでに所有する設備・技術を活用しつつ、全てのカーオーナー様に自発的に案内できる」と、新サービスの提案に積極的に取り組んでいる。


《カーケアプラス編集部@相原駿》

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