国土交通省九州運輸局は9月3日、JR九州より8月31日に届出があった長崎本線肥前山口~諫早(いさはや)間60.8kmの第一種鉄道事業廃止についての意見聴取実施を公示した発表した。
同区間は、2022年秋に開業する予定の西九州新幹線武雄温泉~長崎間の並行在来線にあたり、JR九州から経営分離されることになっているものの、新幹線開業後から23年間は上下分離方式により、佐賀県と長崎県からなる「一般社団法人佐賀・ 長崎鉄道管理センター」が第三種鉄道事業者として施設を保有、JR九州が第二種鉄道事業者として運行を継続することが取り決められており、今回はその届出も同時に出されている。
意見聴取はバス事業者や第三セクター鉄道などの「鉄道事業の廃止の後に公衆の利便の確保を図ることが想定される者」、沿線地域の経済団体や利用者団体などの「利用者その他の者のうち地方運輸局長が当該廃止に関し、特に重大な利害関係を有すると認める者」とする利害関係人に対して、廃止後の利便確保についての意見を聞くもので、上下分離方式導入へ向けた手続きの一環として行なわれる。
肥前山口~諫早間は佐賀県江北町(こうほくまち)、白石町、鹿島市、太良(たら)町、長崎県諫早市に跨っており、現在は特急を含む下り44本・上り45本の列車が設定されている。
全区間が交流電化されているものの、佐賀県・長崎県・JR九州の3者間で2007年、維持費軽減を図るため電化設備を撤去して非電化とすることが決められていた。
しかし、2019年には肥前鹿島までの特急運行を考慮して、JR九州の負担で肥前山口~肥前鹿島間の電化設備が維持されることになり、さらに2021年6月には列車退避などを考慮して、電化維持区間を2面3線構造の肥前浜駅(佐賀県鹿島市)まで延伸することが3者間で申し合わされている。