阿佐海岸鉄道のDMV、運行開始を延期…オリパラ前から年内に

4月10日に行なわれた国土交通省の検討会による現地確認の様子。
  • 4月10日に行なわれた国土交通省の検討会による現地確認の様子。
  • 今回、指摘を受けた前輪部分。
  • 「車輪アーム」部分の構造。耐久性に課題を残した。
  • DMVの構造。バランスを保つための独特の軸重配分制御は、車輪アームへ相応の負担がかかるように見える。
  • 鉄路と道路を切り替えるモードチェンジ上での現地確認の様子。
  • 6月25日に国土交通省で開かれた3回目の「DMVに関する技術評価検討会」の様子。

軌道と道路の両方を走行する「デュアル・モード・ビークル」(Dual Mode Vehicle=DMV)の導入へ向け準備を進めている阿佐海岸鉄道は6月29日、DMVの営業運行開始を延期すると発表した。

同社では東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)開催前の運行開始を目指し、2月下旬から3月下旬にかけて機能試験を、4月上旬から性能試験を実施していた。

その間、国土交通省では現地確認を含めたDMV技術評価検討会(検討会)を3回開催したが、6月16日には委員の指摘により、前部車輪のパーツの一部で、鉄輪を上げ下げする時に作用する「車輪アーム」と呼ばれる部分に関する応力(設計強度を表す指標)の測定を行なったところ、溶接部に「疲労限度に関する許容応力を超過していること」が判明し、脆弱性が問題となった。

そこで、6月25日に開催された3回目の検討会では、その補強対策と再測定を行なった上で、次回の検討会で改めて評価することが申し合わされた。

これを受けて、6月29日に開かれた阿佐東線DMV導入協議会では、オリパラ前の運行開始を断念。7月以降、再度、車輪アームの再設計や再製作などの対策を行ない、再測定結果を確認。検討会での評価を経て、営業運行開始日を決定したいとしている。

ただ、その決定後も、車両確認申請や国交省による保安監査、業務監査が控えていることから、運行開始は年内とする方向が示されている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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