【Stay Home Books】ダイハツやマツダもオート三輪車を作っていた

初の三輪自動車、ダイハツ号(HA型)
  • 初の三輪自動車、ダイハツ号(HA型)
  • 初の軽三輪自動車、ダイハツ・ミゼット(DKA型)
  • ダイハツ・ミゼットMP(左)とオート三輪(右)
  • 日本のオート三輪車史[改訂版]

『日本のオート三輪車史[改訂版]』
編者:GP企画センター
発行:グランプリ出版
定価:1980円
ISBN978-4-87687-381-4

日本の高度成長を支えた商用車であるオート三輪車。その歴史をつづった一冊が刊行された。戦前から日本独特の進化を遂げ、各社が参入して技術を向上させてゆく様子を、多くの図版とともに紹介している。

日本の高度成長期の重要な輸送機関であったオート三輪車。廉価で積載量を多くするという要望に応えるべく、参入メーカーそれぞれの個性に応じて、進化を重ねていった。本書では、ダイハツ、マツダ、くろがね、ヂャイアント、オリエント、サンカー、アキツを中心として、戦前の動向を踏まえて詳細に紹介している。

本書で興味深いのは単なる各メーカーやクルマの紹介にとどまっていないことである。例えば小型四輪トラックと小型三輪トラックの購買層分布を時系列での比較や、徐々にサイズアップした理由、小型四輪トラックと比較してのメリット、デメリットなどが語られている点だ。そこには時代背景や、台数、各メーカーの特徴が織り込まれ、日本独自のオート三輪車という文化がいかに育っていったか、そしてなぜ衰退したのかが述べられているので、この時代に興味のある人たちにも読んでもらいたい一冊である。

また、前述のメーカーや車種の特徴などもわかりやすく記されており、そこから、現在に至る各メーカーの鼻緒が見て取れることも興味深い。

なお本書は、『懐旧のオート三輪車史』(2000年刊)に、その後に発見された資料の追加や、三輪自動車に関する生産・届出台数、登場する車種の主要索引などを収録し、改題して刊行する改訂版である。
日本のオート三輪車史[改訂版]日本のオート三輪車史[改訂版]

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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