NTN、独自設計で自動車用軸受の「クリープ」を停止 新商品開発

クリープレス軸受
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NTNは4月19日、軸受の外輪外径面に同社独自開発の逃げ部加工を施すことで、クリープの停止を実現した「クリープレス軸受」を開発したと発表した。

近年、自動車の省燃費化および省電費化に向けて、モータやトランスミッションなどの小型・軽量化の要求が高まっている。そのため、駆動装置に使用される軸受の軌道輪やハウジングを薄肉化する傾向にあるが、それらの変形により固定した外輪が円周方向に回転してずれる「クリープ」現象が発生する場合がある。特にトランスミッション内で一定方向の重荷重がかかる軸受では、外輪やハウジングの剛性が不足した場合、外輪がひずみにより円周方向に回転する進行波型クリープが発生。外輪とハウジングのはめあい面の摩耗により軸の芯ずれや傾きが大きくなり、異音や振動、または摩耗粉による軸受の寿命低下などを引き起こすことがある。

今回NTNが開発したクリープレス軸受は、これまでのクリープ対策とは全く異なる手法で、外輪外径面の一部に逃げ部を設け、ハウジングとの接触を回避する設計を採用。一定方向荷重が負荷される条件にて、ひずみの進行波を遮断し、重荷重でも進行波型クリープを停止させることに成功した。また、追加部品が不要なため、組み付け性に優れており、同一寸法の標準軸受からの置き換えも可能だ。

今後、EV・HEVの普及に伴い、自動車部品の小型・軽量化がますます加速する中、耐クリープ軸受のニーズはさらに高まると予測される。NTNは本開発品のほか、クリープ現象やクリープ摩耗を防止できる「膨張補正深溝玉軸受」、「AC軸受」、「クリープガード軸受」による商品ラインアップでこうしたニーズに対応する。

《纐纈敏也@DAYS》

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