春闘2021…トヨタは賃上げ・一時金とも満額回答 3年でデジタル化を集中推進

トヨタ自動車元町工場
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  • ホンダ(本田技研工業)本社
  • 日産自動車グローバル本社(横浜市)

自動車メーカーの2021年春季団体交渉は3月17日、一斉に経営側から回答が提示された。最大手のトヨタ自動車は、組合員平均月9200円の賃上げ総額、6.0か月の年間一時金要求ともに満額回答が提示された。

トヨタの賃上げは昨年の妥結額8600円を600円上回った。賃上げのうち、全体の底上げにつながるベースアップ(ベア)については昨年はゼロ回答だったが、サプライヤーなど業界内での格差拡大に配慮し、今年はベアが含まれるかどうかも公表しなかった。

ボーナスである年間一時金については11年連続の満額回答になったものの、コロナ禍の業績影響等を踏まえ、咋年の6.5か月を下回った。豊田章男社長は17日の労使交渉の席上、回答について「それぞれの現場で『今やるべきこと』を地道にコツコツと積み上げ、改善を続けてくれている組合員の皆さんの頑張りに感謝し」、要求どおりにすると伝えた。

さらに、「今後労使一体となって取り組む2本柱」として、デジタル化とカーボンニュートラルを掲げた。デジタル化については、「この3年間で世界のトップ企業と肩を並べるレベルまで一気にもっていきたい」と表明した。またカーボンニュートラルは、日本では生産の海外移転という「雇用問題を内包している」との認識から「日本のモノづくりの基盤を守り、(関連分野を含む自動車産業の)550万人の雇用を守りながらカーボンニュートラル社会を実現するのが私たちの使命」と訴えた。

日産自動車は、組合員の「平均賃金改定原資」としての7000円の賃上げ要求に対し、満額回答が出た。7000円は昨年の妥結(要求9000円)と同じ水準。また一時金も5.0か月(咋年妥結は5.4か月)の要求どおりとなり、咋年に続く満額回答だった。

ホンダは今年、ベアの要求が8年ぶりに見送られ、一時金については5.3か月(咋年妥結5.95か月)の要求となっていた。会社側は「スピード感をもって改革に取り組むべき」との方針から、各社の回答日より1週間早い3月10日に満額回答を示した。ホンダの一時金の満額は2年ぶり。

このほか、経営再建途上にあり賃上げ要求を見送った三菱自動車の一時金は、4.6か月の要求に対し、「3.7か月+0.3か月」と厳しい回答になった。うち0.3か月分は、2021年度の通期業績の達成に基づいて支給するという会社方針が示された。

《池原照雄》

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