フロントガラスの新たな守り方…活況帯びるプロテクションフィルム[カーケアプラス]

ポリウレタン製のフィルムでボディを保護するペイントプロテクションフィルム(PPF)がここ数年、XPEL(エクスペル)を筆頭にブランド・製品が広がり、普及が一段と加速しているが、それに続く勢いで、フロントガラスを保護するウインドウプロテクションフィルム(WPF)もにわかに活況を帯びている。

PPF同様に製品バリエーションが広がりつつあり、先進安全装置(カメラ)を備えたフロントガラスの普及に伴う修理コスト上昇なども一因に、PPF以上にハードルが高いといわれるWPFの施工も、プロの事業者間で情報・技術の共有が活気づいている。

◆耐候性や撥水性が向上 広がるWPF

ラッピングやPPFなどの施工と事業者向け販売を手掛けるソフト99オートサービスでは、ウインドウプロテクションフィルム(WPF)のラインナップも拡大させている。

2020年にエスアンドカンパニーが発売した「P-Shield(Pシールド)」を取り扱い始めたほか、自社ブランド「CLIMAX(クライマックス)」でも遮熱機能を付加したタイプを発売。そして12月には、新たにアメリカの「Racing Optics(レーシングオプティクス)」の認定ディーラーとなり、競技車両を中心に市場開拓を進めている。


「レーシングオプティクス」ブランドでは、ハイエンド車両をメインターゲットに設計された積層フィルム「3333シールド」の施工・販売を開始した。

75μmのポリエステル3層で構成され、深い傷や汚れが付着した際には1枚ずつ剥がすことが可能。従来の4層タイプのWPFとは異なり、施工性や視認性、表面コート層の耐久性が大幅に改善されているそうだ。

これまでも競技車両への施工や観光バスへのテスト施工などでWPFを取り扱ってきた同社だが、目下注力するのがレースシーンでの活用提案だ。

同社では、「元々WPFもレースから派生してきた製品で、一般車両の先端を行くレーシングカーだが、実は一部のカテゴリを除くとまだあまり認知されていない。ナンバープレート付きレース車両やスポーツ走行車両には撥水性や透明性に優れるPシールドを、スーパー耐久やスーパーGTといったハードな競技にはクライマックスをベースに積層の3333シールドを組み合わせるなど、車両・競技に応じた提案ができる」(小宅一相談役)として、破損リスクが高いレースシーンでの活用を推進している。


同社参考施工価格例(BMW・M5・クライマックス:9万8000円~、Pシールド:9万3000円~/ポルシェ911・クライマックス:10万5000円/Pシールド10万円~)を見ても、まだまだ身近な金額感とは言い難いWPF施工だが、スポーツ走行をする車両でマツダ・ロードスターやトヨタ・ヤリスなど、ハイエンド車以外の施工依頼も増えてきているそうだ。

さらに2021年2月には、同社が正規販売店を務める柄・色付きPPFで知られるエステックから、高光学弾性ウレタン層を採用した熱成形不要のWPF「Windshield-flex(ウインドシールド・フレックス)」が登場予定で、一部車種では施工者によるカットが必要ないプレカットフィルムの発売も予定。熱成形+カット不要で施工価格の抑制に期待を示している。

◆実は施工できるプロショップは少ない? 高単価な施工費

施工費用の相場や、屋外保管・日常使い時の短い耐久性から、コストパフォーマンス的にはまだ一般ユーザーにとっては身近なアイテムとは言い難いWPF。ただ、前述のような製品の拡充に加え、施工者の広がりという面でも、今後WPFがより身近になる可能性もある。

そもそもWPFの高価な施工費用は、WPFの製品単価に加え、施工難易度が高く施工技術者が少ないのも要因となっている。PPFとは異なりPET樹脂が基材で熱成形を要する製品が多く、保護用フィルムながら細部まで綺麗な仕上がりを求められることが多い日本市場では、プロでも施工に際して失敗するリスクがある。製品単価が高いWPFゆえに高い施工失敗リスクはサービス提供価格の高騰に繋がっており、施工できるユーザーもショップも少ないのが現状だ。

そんな中、製品の広がりを背景に、プロの施工者同士の技術研鑽・情報共有も活発になってきている。

東京を中心としたディテイリングプロショップの集団「東京ディテイリング倶楽部」では2020年、長年のWPF施工実績を誇るアクティブガレージ(阿部代表)が中心となってPシールドの技術講習会を実施した。

熱成形の仕方やWPF端部の仕上がり処理をはじめ、製品による特性の違いや施工に適した道具、顧客への案内方法など細かなことまで、Pシールドに限らず、多種多様なPPF/WPFを長年取り扱っている同社ならではのノウハウを同業他社と共有。ハイエンドな顧客から高い信頼を得る同社だが、「PPFもWPFもまだ市場規模はとても限定的で、しっかり施工できるプロショップ・施工者が少ないのも実情。しっかりとした施工技術者が増え、ユーザー・市場も広がれば」と阿部代表は胸の内を話す。

また、カーラッピングの日本での普及を推し進めてきた日本カーラッピング協会(JCWA)でも、ラッピング、PPFに続いてWPF専用のプロ事業者向け講習会を企画。

1月に予定していた第1回目は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮して延期となったが、同協会WPF部門長で講習会講師を務める予定でもあったPファクトリー井上代表は、「新製品が続々と登場し、性能やコスト、施工性の面で製品間の競争が生じ始めている。これまで長い間、スーパーカーやレース車両、観光バスなど限定的だったが、耐候性の向上などにより、サービスとしての実用性・ニーズは高まっており、今後一層広がるのでは」とWPFの広がりに期待を示す。

その上で、「PPFやWPFは、講習を一度受けただけではプロとして事業を継続できないショップも少なくない。特にWPFは、かつて施工していたショップでも現在は断念しているケースもある。講習会を有益に活用してもらいたい」と話している。

◆「WPF≠万能アイテム」を理解した上でショップ選びを

近年では、フロントガラスに自動ブレーキ(衝突被害軽減軽減システム)用のカメラを備えるクルマも普及し、そうした車種や修理事業者によっては、ガラス破損の修理に際し、修理後のカメラの正確な作動を保証する観点から簡易なリペアや廉価な社外ガラスへの交換をせず、純正ガラスへの交換を推奨しているケースもある。その場合、ただの飛び石傷が思いのほか高額な出費となってしまうことも。

また、実は筆者も近年、所有する15年落ちの輸入車のガラス交換をした際は、社外ガラスと純正ガラスに大きな金額差がなく、結局15万円強で純正ガラスに交換したことがある。カメラを備えずとも、流通部品が少ない、もしくは欠損する旧車オーナーなどにとっても、WPFは魅力的なアイテムだ。

「格安の社外ガラスが流通する車両で、交換は社外ガラスでOK」というドライバーはWPFのメリットは薄いかもしれないが、「万が一の際は高くても純正ガラスに交換したい」「そもそも大切な愛車は極力傷つけたくない」というドライバーは、製品が出揃ってきた今こそ、改めてWPFという選択肢を一考してみても良いかも。そしてその際は、「WPFが万能である」という過度な期待を持たず、保管環境や走行頻度に応じた経年劣化リスクや自身が求める仕上がり品質など、愛車に施工した際のメリット・デメリットをしっかりと相談・提案できるショップを探してみてほしい。

《カーケアプラス編集部@相原駿》

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