日本TI、車載製品などを日本円でWeb購入できるオプションを発表

日本TIのWebサイトからは日本語、日本円で製品購入可能になった
  • 日本TIのWebサイトからは日本語、日本円で製品購入可能になった
  • 日本テキサス・インスツルメンツのサミュエル・ヴィーカリ(Samuel Vicari)社長
  • Webサイトから可能となったオンライン購入についての概要
  • TIのグローバルでの概要と2020年度業績
  • 日本には営業拠点が7箇所、2つの工場が稼働中だ
  • TI製品には全体の75%を複数の拠点から調達できる柔軟性がある
  • Webさいとからの購入を可能にしたことで、設計プロセスの簡素化と市場投入までのプロセスを大幅に短縮できる
  • TI製品の約20%が車載関連製品で、日本はその重要度が高い国のひとつ

日本テキサス・インスツルメント(TI)は2月18日、同社Web サイトからの製品購入について新たなオプションを導入すると発表した。同社のサミュエル・ヴィーカリ社長がオンラインで記者会見し、TIの現状を紹介した上で今回の新たなオプションについて概要を説明した。

量産開始前のTIデバイスをこのWebサイトでのみ入手できる

発表された新たなオプションとは、Webサイトからの機能強化策の一環として、TI製品を日本円で買えるようにするもの。支払い方法はJCB/Visaクレジットカードなどから複数選択できるようになる。これと合わせて、通関手続きの簡素化をはじめ、購入形態もカット済みテープ、全量リール、カスタム数量リールといった注文オプションによって、ユーザーの量産形態に合わせ込むことが可能になる。

Webサイトからすぐに入手できる製品は5万5000種を超えるアナログおよび組み込みプロセッシング製品で、正規TI製品をオンラインならではの低価格で購入できるのも大きな特徴だ。注文は日本語でも行え、注文品の追跡に対応して扱いやすさも高めた。さらにこのオプションでは、試作のための量産開始前TIデバイスをこのWebサイトでのみ入手可能となる。日本円での支払いや日本語での対応と合わせ、ユーザーが製品試作を行う場合などでも大きな魅力となっていきそうだ。

TI製品は75%を複数の拠点から調達できる柔軟性を持つ

サミュエル・ヴィーカリ社長は、このオプションを可能としたTIの現状についても説明し、質問にも答えた。

それによると、TIは全世界に約3万名の従業員を要するグローバル企業で、その主力製品はアナログ製品及びプロセッシング製品などの半導体。2020年の売上高は144.6億ドルで車載向けはそのうち約20%を占める。その中で日本TIは1968年に設立された長い歴史を誇り、営業所は現在7拠点。工場については1980年に美浦工場(茨城県)を、2010年に会津工場(福島県)をそれぞれ稼働させ、2工場、1パッケージ開発拠点とすることでリスク分散も図っているとした。

ヴィーカリ社長が特に強調したのがこのリスク分散だ。「長期に渡って日本のユーザーをサポートする中でわかったのが、「製品供給の持続させる体制をどう確保するか敏感になっている」(同氏)ということだ。その背景には日本が多くの自然災害に見舞われ、自動車メーカーや部品メーカーが製造の中断に追いこまれたことがある。しかし、TIは全体の75%の製品を複数の拠点から調達できる柔軟性を備え、これが部品の供給継続にメリットをもたらすという。

例えば、「感染拡大防止策がとられた東南アジアでは部品の供給が滞った際に、中国や日本、台湾などの拠点から調達することで供給を継続できた」(同氏)という。つまり、TIは一定の製品を長期間にわたって製品供給ができる会社というわけだ。

半導体不足の中、8割を自社生産して顧客の要求に応える

また、車載半導体の供給不足によって減産に追い込まれている自動車メーカーがあることを質問されたヴィーカリ社長は、「その要因はファウンドリー(半導体製造の上流工程を担う企業)の製造ラインが混雑していることにある」と答え、「いくつかの部品では需要がひっ迫しているものの、TIでは全体の8割程度は自社工場で生産していて顧客の要求には応えられている」との同社の現状を説明した。

Appleが自動車市場へ参入を検討していることに対する質問に対しては、「市場に変化が起きているときは新たなプレーヤーが参入してくるもの。しかし、新規参入組はシステム技術を得意としていない」(同氏)と述べ、それはむしろ、システム設定の分野でサポートできるチャンスとして前向きに捉えている様子だった。

《会田肇》

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