車社会を支える「整備士の仕事」を伝えたい … 学生と整備事業者たちの思い

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車社会を支える「整備士の仕事」を伝えたい …  学生と整備事業者たちの思い
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どれだけ丁寧な運転を心がけても「機械」であるクルマの経年劣化や予期せぬ不具合は避けられない。

見た目だけではわからないトラブルを早めに指摘したり、故障の原因を調べ、優れた技術と高性能な設備でしっかり対応してくれる整備士たちのおかげで、安心・安全な「車社会」が成り立っているといえるだろう。

本記事では、整備士の仕事やその必要性を、わかりやすく幼い子どもたちに伝えるために、ディーラーや整備工場などの協力を経て「絵本づくり」に奮闘した学生たちの取り組みを紹介したい。



◆京都市内のプロショップ経営者からの「課題」

京都で生まれ育ち、コーポレート・コミュニケーション論を担当科目とする伊吹勇亮准教授(京都産業大学 経営学部)率いる伊吹ゼミナールでは、毎年3年生を対象に行っている研究授業がある。地元企業や団体が抱えている課題をヒアリングし、1年の時間をかけて解決策を見出すもので、地域活性化に繋がる実践的な授業だ。

伊吹准教授は、創業69年の老舗として知られる光自動車工業(京都市中京区)の中井一雄社長から「自動車整備士の社会的地位の向上」という課題をもらい、伊吹ゼミ10期生が2019年4月から取り組む授業のテーマとした。

学生たちは、整備士のなり手不足や高齢化、低賃金、過酷な労働環境といった、整備士たちが置かれている現状を知り、どのような取り組みが、整備士たちの社会的地位の向上に繋がるかを模索。学生たちは、日本の将来を担う幼い子どもたちに、整備士の存在を印象付け、車社会の世の中で重要な役割を担っていることを伝えようと、絵本制作にたどり着く。

絵本の主人公は、クルマとケーキが大好きな男の子。夢の中で男の子はケーキの配達を任されるも、途中で車が故障。“車のお医者さん(整備士)”に修理をお願いし、無事にケーキを届けるというストーリーで、幼い子どもたちに整備士の仕事を身近に感じてもらえるように工夫している。

絵本の制作費は、地元のディーラーや整備工場などの協力を経て捻出。完成後は、京都市内にある111の幼稚園に無償配布し、うち11の園でゼミ生たちによる読み聞かせ会も行った。



◆学生たちが「はじめて気づいた」こと

男女合わせて22名の伊吹ゼミ10期生たちは、整備士を題材にした絵本制作で気づいたことがあるという。彼らは、整備士の理解を深めるべく、京都駅前で街頭アンケートを行ったり、光自動車工業など地元・京都市内の整備工場に足を運び、整備の現場を見学。これまで、一度も話しかける機会がなかったプロの整備士たちに声をかけ話を聞いたことで、何を感じたのか。学生たちにメール取材を依頼したところ、以下のような回答を得られた。



『私たちの生活に、自動車は欠かせません。ですが、あまりにも当たり前すぎて、この企画に取り組むまで、車や整備士について考える機会がなかったのです。

整備士は、油まみれで肉体労働。というマイナスなイメージが強すぎて…。車社会を支える重要な役割を担い、ドライバーや同乗者といった人の命を守ってくれていることを、まったくわかっていませんでした。

整備士の皆さんは国家資格を持ち、やりがいや、強い誇りをもって取り組まれている。整備士の皆さんがいてくださるから、車社会が円滑に継続されているという、その存在の大きさに気づくことができました。整備士という仕事の素晴らしさや必要性を、多くの人たちに伝えたいと強く思いました』


◆3つの企画から選ばれた「絵本づくり」

学生たちは「自動車整備士の社会的地位の向上」というテーマの解決策として、地元のディーラーや整備工場などに、等身大の人生ゲーム、ステッカー配付、幼児向けの絵本、という3つの企画を提案。その中で絵本制作が選ばれたという。どのような効果を期待して絵本制作に至ったのか。学生たちからは、以下のコメントが届いた。

『2年生のゼミ活動で子どもを対象にした避難訓練型脱出ゲームを実施した際に、子どもの持つ知識の吸収力や好奇心の強さがわかったのです。その経験から、子どものうちに、整備士の役割や、間接的ではあれど “人の命を守る仕事” であることを、絵本を通じて上手く伝えられれば、子どもたちの記憶の中に、整備士の良いイメージが残り続ける可能性があるように思ったのです。

また「整備士について、考えるきっかけを与えたい」「整備士について、意見をもっていない人に意見をもってもらいたい」という思いもあり、幼い子どもたちがその対象として、最適なのではないかと考えました』




◆苦労とこだわり

絵本の発行は、2019年12月18日。この日を迎えるまでに、学生たちは様々な壁にぶつかる。特に大きな苦労は2点あった。

ひとつ目は、整備士の仕事を、どのようなアプローチで伝えるか。ゼミ生たちは、幼稚園児に好まれる絵本ならではの要素やストーリー、絵のテイストを研究。整備士を「くるまのおいしゃさん」という呼び方にするなど、細部にわたってこだわった。

ふたつ目は、今回の取り組みを、どのような方法で広く世の中に伝えるか。ゼミ生たちは、絵本制作や幼稚園児への読み聞かせといった活動を、より多くの人々にアピールするために、ニュースリリースを配信。地元の新聞社や自動車専門の業界新聞などの目に止まり、記事として取り上げられた。さらに、絵本を直接読むことができない人たちにも届けられるようにと、絵本の読み聞かせ動画をYouTubeで公開した。



車がある生活が当たり前だからこそ、『もしも車がなかったら?』『整備士がいなかったら?』などを考えるきっかけがあれば、整備士の社会的地位は徐々に向上していくのではないか、というのがゼミ生たちの考えだ。その思いから、絵本発行後に、絵本制作のコンセプトムービーも公開している。

今回のような取り組みが全国各地で増えれば、若い世代と自動車整備事業者(ディーラーや整備工場など)との繋がりが強くなり、地域活性化と整備士のイメージアップの両方につながっていくように思う。新型コロナウイルスの影響で外出しずらい状況ではあるが、特に地方各地では通勤や通院、食料品購入のために、車は必要だ。こういった時にこそ、車社会を支える、整備士や鈑金塗装職人、本当に信頼できる自動車プロショップの存在は重要といえるだろう。




▼絵本「ありがとう くるまのおいしゃさん」協賛企業
一般社団法人 京都府自動車整備振興会
京都ダイハツ販売株式会社
京都トヨタ自動車株式会社
京都トヨペット株式会社
京都日産自動車株式会社
京都日野自動車株式会社
京滋ユアサ電機株式会社
株式会社スズキ自販京都
住友三井オートサービス株式会社
株式会社大黒商会
株式会社ダイサブ
株式会社大同商会
トヨタカローラ京都株式会社
日本カーソリューションズ株式会社
ネッツトヨタヤサカ株式会社
株式会社二葉自動車工作所
株式会社ボディーショップオクムラ
株式会社マツシマホールディングス
株式会社ミズタニ
吉田商事株式会社
株式会社レオタニモト
光自動車工業株式会社
《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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