独自のHMI・IVI市場を築く中国自動車産業…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]

独自のHMI・IVI市場を築く中国自動車産業…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]
  • 独自のHMI・IVI市場を築く中国自動車産業…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]

HMI(Human Machine Interface)は、CASE車両の進化に共通して必要なコンポーネントのひとつである。この領域で市場を先行する国のひとつに中国がある。車両HMIの中国市場、および世界市場の動向について、SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏に聞いた。

大塚氏は、4月23日開催のオンラインセミナーHMI・中国のトレンドと未来の車両インテリア設計で、メータークラスターやAIアシスタント、レベル3自動運転で、独自の市場が広がっている中国HMI事情について詳細を語る予定だ。

SBD Automotiveは英国を本拠地とする自動車関連の調査・試験・コンサルティングを行う企業。OEMやサプライヤーの資本は入っておらず、それらとは独立した市場調査、技術試験、分析をメインに行っている。

車両のHMIは、広義にはステアリングやシフトレバー、ペダルやスイッチ類も含まれるが、CASE車両ではとくにメータークラスターやセンターコンソールのナビやIVIの役割が重要になってきている。コネクテッドカーにおいて各種情報のインターフェイスをいうに及ばず、シェアリングカーでも解錠・施錠、始動のしくみ、電動化では、e-Pedalのような機構・回生ブレーキのレバー、電池の温度管理や充電関連情報なども必要だ。

自動運転では、車両の状態表示や制御権のテイクオーバーの方法、インターフェイスの研究が進んでいる。安全・確実な運転モードの切り替えは、レベル3以上の自動運転では欠かせない機能でもある。

――中国のHMIは特徴があると聞きました。具体的にはどんな特徴があるのでしょうか。

大塚氏(以下同):中国の技術進化はとても速く、メータークラスタ―やコンソールでは、日本や欧米では見られないデザインや機能を持った車が増えています。いちばんの特徴はディスプレイ画面の多さです。メータクラスターはマルチファンクションのディスプレイやマルチディスプレイが増えています。CES ASIAでは、コックピット正面に三面ディスプレイという車両も出展されました。

センターディスプレイも大型化が進んでいます。助手席側にもディスプレイが進出しています。マルチ画面化および大画面化は、避けられないトレンドだと思います。

――テスラもセンターコンソールのディスプレイを大型化し、操作系を集中させましたし、国内でもインテリジェントミラーなどディスプレイの大型化、マルチ化が進んでいますね。

もうひとつの特徴は音声アシスタントの普及です。BATと呼ばれるバイドゥ、アリババ、テンセントのような中国のテックジャイアントが、車載向けのサービス、プラットフォームにも進出しています。アリババのTmall Genieというアシスタントは、BMW Connectにも搭載されています。

そして中国らしいのは、大手以外にも多数のスタートアップが独自のAIアシスタントを出しており、市販車両にも展開されていることです。中国のテスラと呼ばれているNIOのNOMIというアシスタントは有名です。

――車載のAIアシスタントは、ダイムラー、BMW、トヨタなどが搭載モデルを出していますが、これらとの違いはあるのでしょうか。

全体的に中国のAIアシスタントは能力が高いと言えます。その他の国のAIアシスタントは、出力(応答)が機械的でパターンが画一的です。また、できないことを「できない」といわず、できる別の解釈をしようとします。対して、中国系のアシスタントは、柔軟な対応をします。

多くのAIアシスタントが、じつはコマンドやスイッチの代わりに音声認識を適用しているだけで、操作や命令は1回ずつ独立しています。失敗したら、最初から全部を命令しなければなりません。命令を与えるだけで、対話、会話が成立するAIアシスタントはほとんどありません。前後のコンテキストを踏まえた対話がどれだけできるか、という指標では中国のアシスタントは進んでいます。

――その違いは言語の違いによるものでしょうか。

言語の違いはあまり関係ないと思います。むしろ、中国という特殊な社会、市場ということと、メーカーや企業の新しい技術への考え方の違いだと思います。

たとえば、中国ではドアロックや窓、サンルーフの開閉などができるスマホアプリが多数存在します。音声アシスタントも、スマートフォン連携は当たり前ですし、ナビ設定とレストランなどの予約連携できるのが一般的です。日本や欧米では、外部サービスとの連携は、相互接続というより、OEMなどが運営するプラットフォームに接続するパートナーに閉じる傾向がありますが、中国のほうが外部連携のハードルは低くく、車の操作をアプリに委ねるということへの抵抗も少ないようです。

また、中国では、顔認証を使って、複数のアカウントをひとつのアカウントで統合管理するID連携が進んでいます。このような下地があるため、車両とIDを結び付けたり、アプリが入りやすい環境にあります。

――なるほど。中国の特殊な社会的、文化的な背景もあり、車両への新しい機能の適用や、アプリ連携が進んでいるようですね。自動運転についても同様でしょうか。

自動運転の場合、HMIには特別な考え方が必要です。いちばんの問題は、自動運転から手動運転への切り替えタイミングと知らせる方法です。

レベル3では、運転手の状況によって、どこで手動運転への切り替えを促すか、どうやって切り替えさせるのかを考えなければなりません。このユースケースが複雑かつ膨大になるので、レベル3をスキップするOEMメーカーもあります。自動運転技術そのものは、中国が突出しているというわけでもありません。中国国内で、レベル3を実現した乗用車はまだありませんが、レベル3自動運転の研究開発を進めているメーカーが、スタートアップを含めていくつもあります。

自動運転技術は、国際的な法律の枠組みや標準が定まっていないので、中国だけ独自技術で先行するということはありませんが、開発意欲は高いといえるでしょう。

大塚氏が登壇する4月23日開催のオンラインセミナーはこちら

《中尾真二》

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