[リアニマル]家族のつながりを大切にしたブリーディング…小さな命がまく幸せの種 前編

ナッツの子どもたち
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  • お母さん(飼い主さん)は、往診をメインに行っている獣医師の堀江志麻先生

昨年6月に、「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。いわゆる動物愛護法の改正です。こうした動きは続いていますが、繁殖業界における飼育環境やブリーディング方法にはまだまだ多くの課題が残されています。

そうした話題も今後扱っていきたいと思いますが、ここでは、少し違ったアングルで一つの「ご家族」をご紹介します。

ブリーディングとは、そこに「心」が存在すべきいわば命の創造。当然のことながら、犬たちの身体的・精神的健康には最大限の注意が払われるべきです。こうしたブリーディングの世界もあるということを知って欲しいと思います。

ベテランお母さんの「ナッツ」

もうすぐ3歳になるジャックラッセルテリア「ナッツ」。すでに2度、立派に子育てを終えているので、ベテランのママさんです。

ナッツは生後4ヶ月の頃、ご家族に迎えられました。お母さん、お父さん、それから小学生のお姉ちゃんのもと、愛情たっぷりのお家で暮らしています。

お母さん(飼い主さん)は、往診をメインに行っている獣医さんの堀江志麻先生。ナッツは「往診同行犬」として、お母さん(=先生)と一緒に患者さんのお宅を訪問することもあります。なかなか素人には難しい歯磨きの練習役をこなしたりと、先生の助手を立派に務める社交的かつプロフェッショナルな大人ワンコです。

ナッツの出産:ご家族のもとで

彼女が最初の赤ちゃんを産んだのは、2018年の12月10日。2度目のヒート後、1歳9か月の頃でした。この日は朝から陣痛が始まり、11時半に「ひとり」目が誕生。そのわずか15分後には「ふたり」目が生まれ、お昼前には2児の母になったナッツ。

「ナッツのおうち」で、一息ついているうちに、ベビーたちはおともだちワンコのお母さんたちの愛情あふれる温かい手に包まれて、産湯につかっていました。

「ナッツのおうち」は、お姉ちゃん(先生のお嬢さん)と、そのお友達がナッツとベビーたちのために作ってくれたもの。「奥は暗い方がいいよねぇ」、柵は「赤ちゃんは出られないように、でもナッツは出やすい高さがいいよねぇ」など、みんなでアイディアを出しながら出来上がったお家です。

ベビーたちは、生まれる前から、たくさんの愛情に包まれていました。

仔犬たちの成長:愛情ある教育的指導

おっぱいをたくさん飲んで、いつもお腹がパンパンの仔犬たち。男の子は167g、女の子は199gだった体重は、5日後には倍に増えました。生後2週間を過ぎた頃には、眼が開きはじめ、大きな頭を少し持ち上げてよちよち歩きができるようになりました。

生後1か月を過ぎると、しっぽを振りながら歩き回ったり、きょうだいで遊んだり、すっかり犬らしくなりました。よちよち歩きの頃からご家族がトレーニングをしていたので、この頃にはシートの上でトイレができるようになった「ふたり」!

ちなみに、体重はこの時点でふたりとも約1キロ。体の大きさが1か月で5倍になったのと同じくらい、トイレだけでなく、色々なことをすごいスピードで吸収するのでしょう。

人間も犬も大好きで、社交的かつとっても穏やかな性格のナッツ。これまで唸ったことのない彼女ですが、仔犬たちには唸ることがあるそうです。

「ホントの理由は分からないけれど、自分より強い犬が現れた時、動きを止め、時にはひっくり返り、敵意がないことを伝えるのを仔犬に教えているように感じます」。

教育的指導・叱り、も含めたバランスの良い愛情が小さな命には大切。私たち人間と同じです。

 

後編では、仔犬たちの旅立ちと飼い主さんのブリーディングに対する思いについてお伝えします。

[写真提供:しまペットクリニック]

《石川徹》

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