「八重山MaaS」石垣・八重山諸島が抱える課題…石垣市 企画部商工振興課 課長 平良守弘氏[インタビュー]

石垣市 企画部商工振興課 課長 平良守弘氏
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  • EVスクーターgogoro

透き通る青い海と空。ゆっくりと過ぎる島の時間。どこからともなく聞こえてくる三線と島唄。石垣島と竹富島や与那国島は誰もがうらやむ人気の観光地だ。そこではじまる「八重山MaaS」とはどのような内容だろうか。石垣市企画部商工振興課課長の平良守弘氏に聞いた。

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過度にクルマに依存した島の移動

平良氏:石垣市、竹富町、与那国町の1市2町を八重山諸島と呼んでいて、石垣島、竹富島、西表島など12の風光明媚な有人島が点在しています。人口5万6000人のうち石垣市が5万人です。移住者もかなり増えていて、ホテルや居酒屋、スナック等の飲食店で働く従業員など住民票を移していない人(幽霊人口)もたくさんいるため、もっと住んでいる人がいるのではないかと推定しています。

八重山諸島は、観光業だけではなく、石垣牛やかまぼこ、パインにマンゴーなど農業、酪農、水産業などさまざまな産業が発達しているんです。

---:「八重山MaaS」と聞いて八重山とはどこだろうと思った人も多くいます。石垣市、竹富町、与那国町のことを指すのですね。泡盛の八重泉などは全国的に有名ですが、その八重山ですね。

平良氏:石垣島の住民の約8割が市庁舎や離島への船舶の離島ターミナルのある南部に住んでいます。そのため北西部の住民でクルマの運転のできない高齢者や学生が困っています。北部から南部の中心部までは約60km約1時間かかります。高校が南部の中心部にあるため、8時半の始業時間に間に合わないので、高校から寮に入るようになってしまっていて、寮費が1か月約4万円かかるなどの負担が大きくなってしまっています。

このような問題を解決するために2014年ごろに石垣市生活交通ネットワーク計画を策定しました。巡回バスなどを走らせましたが、もともとバスの交通分担率は数%と非常に低く、地域住民は自動車に依存した生活に慣れてしまっているため、うまくいっていないのが実情です。現在、北西部への路線バス運行は1日3便にとどまっています。

レンタカー過多になりがち

平良氏:2013年に新しい空港ができてから観光客は約70万人から約138万人と約2倍伸びました。観光客の多くはレンタカーを借りて島をめぐる人が多く、レンタカー過多になったり、レンタカーによる事故も増えています。そこでレンタカーからバスやタクシーへシフトできないかと考えています。

---:東京などから石垣島へ直行便が飛んでいます(所要時間は約3時間半)。その他、那覇空港を経由して石垣島へ行く方法もあります。LCCが飛ぶようになり、飛行機と宿がセットになった旅行券をネットで購入することもできるようになったので、非常に身近に感じます。おそらく八重山諸島にはだいたい2泊はするのではないでしょうか。

飛行機、ホテル、レンタカーをセットで予約する旅行者もたくさんいますね。沖縄を観光するにはレンタカーが必要というイメージがついているようで、繁忙期には「レンタカーが借りれない」という声も東京で聞きます。

---:石垣空港からホテルまでは送迎バスを走らせているホテルもありました。石垣空港から石垣島以外の離島をつなぐ離島ターミナルまで、片道500円のシャトルバスもありました。シャトルバスや路線バスは、乗るまで運賃がいくらかわからなかったので不安でしたし、支払いは現金だったのクレジットカード払いなどができると嬉しいです。

石垣島の離島ですし、限られた道路と観光地を結べば、観光客も公共交通に乗って観光できるようになるかもしれません。最近ではIoTやAIを活用したサービスが登場してきているのでうまく活用するとよいかもしれません。石垣は公共交通での観光が便利というイメージを作れるといいですね。

EVスクーターgogoroの導入

平良氏:環境にやさしいまちづくりを進めています。そこで台湾発のEVスクーターgogoroを市の職員が活用したり、市役所の駐車場にgogoroの充電スタンドを置いたりしています。またEV車を市の公用車に導入するなども進めています。

---:gogoroはかなりの台数があるようで島のあちこちで見かけました。空港や離島ターミナルでレンタルが可能ですね。自転車の活用も検討されているようですね。

まず観光型MaaSから

平良氏:このような背景からスマートモビリティを推進するために国交省のMaaS事業に応募して「八重山MaaS」をはじめました。観光型MaaSからはじめて、地域住民版MaaSに広げていきたいと考えています。

石垣空港に到着した観光客にバスやタクシーで移動してもらい、離島ターミナルから船に乗って、そこから離島を観光してもらう一連のストーリを考えています。

八重山MaaSは7者の事業連携体を作っています。中核メンバーは沖縄県の有力企業である琉球銀行、JTB沖縄、沖縄セルラーアグリ&マルシェ、(株)TIS。そして石垣市、竹富町、八重山ビジターズビューローが支援します。

MaaSのプラットフォームは電子チケットを管理・認証する機能を中心に構築していて、ルート検索、非対面決済、会員基盤、データ活用、加盟事業者との精算から構成しています。

交通事業者は、石垣島と西表島の船舶2社(安栄観光、八重山観光フェリー)、バス3社(東運輸、石表島交通、カリー観光)、タクシー6社(あずまタクシー、石垣島交通、かびら観光交通、川良山交通、東海交通、南西交通)の計11社が参画しています。

八重山MaaSの商品には「西表島バス1日乗り放題」、「離島船舶3日間乗り放題」、「石垣島バス3日間乗り放題」、「石垣島バス3時間乗り放題」、「石垣島3時間観光タクシー」などを検討しています。

八重山MaaSのサービスは2019年11月末のスタートを予定しています。

---:石垣島の隣の竹富町の竹富島に行ってみました。エメラルドグリーンの海や星の砂、満天の星空、そして水牛や赤煉瓦の集落など沖縄の原風景が楽しめました。竹富島は石垣島の南の市役所の近くの離島ターミナルから船舶が出ていて、高速船で約10分でした。島の観光客の主な移動手段は自転車で、レンタサイクル会社が港まで送迎してくれる仕組みが興味深かったです。

石垣島や竹富島以外にも点在する美しい島々がたくさんあるので、訪れる人がもっと楽しめて、地域住民や環境と共生する仕組みを確立したいですね。

平良氏:まだまだ八重山諸島の移動手段は、改善していく必要があるので、いろいろなアイディアを募集しています。

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《楠田悦子》

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