カーオーディオ・システムの中に組み込まれ、信号制御の役割を果たす“プロセッサー”。これについて多角的に解説している当特集。その第9回目となる今回は、“アナログ・プロセッサー”にスポットを当てる。さて、これはどのようなものなのか…。 ◆注目機を多々擁する“オーディオコントロール”の製品を例に、具体的に解説! ここまでは主に、“DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)”について解説してきた。これは、信号をデジタル状態のまま(またはアナログ信号をデジタル信号に変換した後に)制御を行うものだ。対して“アナログ・プロセッサー”では、制御するのはアナログ状態の音楽信号だ。 具体的にはどのようなものがあるのかを機種名を挙げながら解説していこう。“アナログ・プロセッサー”を多種多様にリリースしている“オーディオコントロール”のラインナップの中から注目機を例に取り紹介していく。 なお同社は、“プロセッサー”の専業ブランドであり、デジタルタイプの“プロセッサー”も多々持っている。“アナログ・プロセッサー”に特化したブランドではないので、その点は誤解のなきように。 まずはこちらから。“アナログ・プロセッサー”の代表的な存在である“ライン出力コンバーター”のスタンダードモデル、『LC2i』(税抜価格:2万7000円)から取り上げる。 当機は以下のような働きをする。「メインユニットのスピーカー出力からアウトプットされる音楽信号を、微弱な状態へと変換(コンバート)する」。このような役割を果たす。 そして当機が活躍するのは以下のようなシーンだ。「外部パワーアンプ等を用いてシステムを拡張したいと思っても、使っているメインユニットにライン出力が備わっていない場合」だ。 そんなときにはスピーカー出力を活用するしかない。しかしスピーカー出力の信号はメインユニットの内蔵パワーアンプですでに増幅されているので、それをそのまま外部パワーアンプ等へは入力できない。しかし『LC2i』をかませば、それが可能となるのだ。 ◆“ライン出力コンバーター”が活躍するシーンが減っている!? しかしながら、最近は多くの外部パワーアンプやパワーアンプ内蔵DSPが“ハイレベルインプット”を備えている。当機能が備わっていれば“ライン出力コンバーター”を用意する必要はない。ところがどっこい、それでも『LC2i』が輝きを放つケースは有り得ている。 『LC2i』は、2ch分のスピーカー出力を入力し、2.1ch分のライン出力をアウトプットできる。なので、以下のようなケースで重宝する。それは「フロント2ウェイスピーカーを外部パワーアンプで鳴らし、かつパワードサブウーファーも鳴らそうとするとき」だ。もしも『LC2i』を使わないと、外部パワーアンプとパワードサブウーファーの両方にスピーカー出力を接続しなくてはならないが、『LC2i』を使えば、スピーカー出力の入力作業は1系統だけですむ。スピーカー入力の配線は少々面倒なのだが、当機を使えば配線作業の効率化が果たせるのだ。 または『LC6i』(税抜価格:4万円)というユニットもあり、当機の場合はまた違った局面で利便性を発揮する。当機は6ch分のスピーカー出力を入力できる。しかも、その6ch分のスピーカー出力が“帯域分割”されていても、それをフルレンジの信号へと合成する機能(サミング機能)も搭載されている。 最近は、各スピーカーへと送る音楽信号があらかじめ“帯域分割”されているシステムが搭載された車種も少なくない。そのようなケースでは、純正メインユニットを活かすのが面倒なのだが、『LC6i』を用いれば、問題なく純正オーディオを活用できる、というわけなのだ。 ◆パワーアンプの性能を一層引き出せる“アナログ・プロセッサー”もある! さらにはこんな“アナログ・プロセッサー”も用意されている。“ラインドライバー”と呼ばれる『OVERDRIVE Plus』(税抜価格:3万2000円)という製品がある。これは、「メインユニットの“ライン出力”のボルテージを上げる」ユニットだ。 これを使うと、外部パワーアンプの性能を引き出しやすくなる。なぜならば、当機を使って電圧を上げてやると、パワーアンプの入力(ゲイン)を絞れるからだ。 パワーアンプは基本的には、ゲインを絞った方が高音質を得られやすい。S/Nが高まりダイナミックレンジも稼ぎやすくなるのだ。しかしながらゲインを絞り過ぎると音量が稼げない。それでは外部パワーアンプを使う意味が弱まってしまう。なので結局はある程度はゲインを上げざるを得ないのだが…。 しかし『OVERDRIVE Plus』を使うと、アンプに入力する前に電圧を上げておけるので、パワーアンプのゲインは絞った方向で設定できる。結果、パワーアンプの性能を一層引き出すことが可能となるのだ。 また、“クロスオーバー”も結構使える。『2XS』(税抜価格:3万4000円)という製品があるのだが、当機を用いると以下のようなメリットが得られる。「使っているメインユニットに“サブウーファー出力”が備えられていなくても、フロントスピーカーとサブウーファーとの“クロスオーバー(帯域分割)”を詳細に設定できる」ようになるのだ。 それができないと、ドアスピーカーとサブウーファーの両方から低音が聴こえてくるので、リアルなサウンドステージが再現しにくくなる。しかし『2XS』を使えば、低音のコントロールがしやすくなり不利がなくなる、というわけなのだ。 いかがだったろうか。“アナログ・プロセッサー”にもさまざまなタイプがある。これらを用いると、手軽にワンランク上のサウンドを手にできたりする。音にこだわるのなら、“アナログ・プロセッサー”にも注目してみよう。要チェック。
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