漏水によるレール底部の腐食と金属疲労…1・2月に発生した都営地下鉄浅草線のレール破断事故

都営浅草線泉岳寺駅。
  • 都営浅草線泉岳寺駅。
  • 1月20日に発生した最初の破断で見られたレールの状況。トンネルの漏水によりレールを通って変電所へ送られるはずの電気が一部大地に流れることで底部が「電食」と呼ばれる腐食を起こし、その結果亀裂に至ったという。
  • 2月1日に発生した2度目の破断で見られたレールの状況。底部の腐食(電食)は軽微だったが、破断面の近くの溶接箇所に凹凸が見られた。
  • レール溶接部近傍の凹凸の状況。

東京都交通局は4月25日、都営地下鉄浅草線で発生したレール破断事故についての原因と対策を明らかにした。

この事故は1月20日に浅草~本所吾妻橋間で、2月1日に泉岳寺~三田間で相次いで発生。わずか10日の間に2度も発生したことを、東京都の小池百合子知事は重く受け止め、東京都交通局に対して再発防止に向けた確認を命じていた。

これを受けた東京都交通局では緊急点検を行なうとともに、公益財団法人鉄道総合技術研究所に原因調査を依頼していたが、その見解によると、1月20日の事故では、トンネルの漏水によりレール底部が腐食。急カーブではレールへの横圧により、底部の腐食部分から金属疲労が発生し、破断に至ったとしている。

また、2月1日に発生した2度目の事故では、腐食の状態は1回目よりは軽かったものの、破断面近くの溶接箇所に微細な凹凸が見られたことから、列車通過時の荷重によりレール底部の腐食部から金属疲労が発生し、その急速な進行により破断に至ったとしている。

これらの見解を受けて、東京都交通局では都営地下鉄全線に対して対策を施すことになり、急カーブ部分については早期にレール交換を行ない、発生箇所については6月までに実施。トンネル内の漏水対策や腐食が発生した箇所の監視を強化し、半径200m未満のカーブで腐食が発生した箇所をデータベース化して、巡回時に経過を観察するとしている。

また、レール溶接部の凹凸については、砕石道床区間の溶接部に監視マークを設置して経過を観察するとともに、凹凸が大きい箇所にはレール削正を施すといった対策を行なうとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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