新素材の活用で樹脂化率47%、電動コンセプトカー ItoP 初公開…車両重量850kg

しなやかなタフポリマー活用のコンセプトカー ItoP(アイトップ)
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超薄膜で壊れにくいポリマー材「しなやかなタフポリマー」を活用することで車両重量850kgと大幅な軽量化を実現したコンセプトカー『ItoP(アイトップ)』が9月28日に都内で報道陣らに公開された。

しなやかなタフポリマーは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)のひとつである「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」で創出された新素材で、従来のポリマー材ではトレードオフの関係にあった超薄膜化と強靭化を両立させたのが特徴。

しなやかなタフポリマーを活用して現在、車体構造用樹脂強靭化、透明樹脂強靭化、タイヤ薄ゲージ化、リチウムイオン電池セパレータ薄膜化、燃料電池電解質膜薄膜化の5つの材料開発プロジェクトが産学連携のもと進められている。

アイトップは、各材料開発プロジェクトの成果を持ち寄り、しなやかなタフポリマーが持つ軽量性、機能性、信頼性などを検証することを目的に制作された。1+2座席の3名乗車、後輪にインホイール型モーターを備えた電気自動車で、ツインレバー式ステアリングを採用し直感的な操縦ができるのも特徴のひとつとなっている。

超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現のプログラム・マネージャーを務める伊藤耕三・東京大学教授は「タフポリマーの性能、機能を実際のクルマでテストする。小さいテストピースで得られた成果が、大きなものにした時に本当にでるのか検証する。またその際に問題が出れば基礎に立ち返って解決する。実用化を早めるうえでもコンセプトカーを造ることは非常に効果があると考えている」と、コンセプトカー製作の意義を語った。

実際にアイトップの製造を担当した東レ・カーボンマジックの奥明栄社長は「従来の車両概念にとらわれない画期的でしなやかさをイメージさせるデザイン。これは金属ではできないだろうなと思わせるものを具現化した」と述べた。

アイトップは、大開口ドアや透明ルーフと一体化されたフロントウィンドー、インパネ、シート構造部材といった内外装を始め、一体成型モノコックボディフレーム、サスペンションやスプリング、ホイールなど足回り部品、さらにはタイヤなどにも、しなやかなタフポリマーを活用することで、車両の樹脂化を従来比の4倍となる47%にまで高めている。

この結果、車両重量が850kgと鉄やガラスなどの従来素材を使った車両に対して38%の軽量化を実現しているという。一方で、しなやかなタフポリマーの製造時には従来素材に比べて温室効果ガス排出量が多いものの、製造時点から10万km走行後までのトータルでの温室効果ガス排出量は11.4%削減できる可能性があるとしている。

《小松哲也》

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