トヨタ 白柳専務、原価低減「鉛筆1本でも大切にする」

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トヨタ自動車の決算会見の様子
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トヨタ自動車が8月3日に発表した2018年度第1四半期(4~6月)の連結決算は、原価改善努力とアジアや北米、欧州での販売増加が牽引し、増収増益、第1四半期としては過去最高の当期純利益を達成した。

しかし、会見に臨んだ経理本部長の白柳正義専務役員は「稼ぐ力、原価改善の力を引き上げる取り組みを始めてきて、成果は見られるがまだ道半ば、という評価だ。仕事のやり方を抜本的に見直す必要がある」と厳しい表情を崩さなかった。

なにしろ2018年度通期の業績予想は売上高29兆円(前期比1.3%減)、営業利益3兆3000億円(同4.2%減)、当期純利益2兆1200億円(同15.0%減)と減収減益だからだ。白柳専務としては、その数字を少しでも良くしたいという思いが強い。

トヨタの“お家芸”と言われる原価改善は、第1四半期150億円と前年同期の500億円に比べて大幅に少ない。資材費の値上げ分500億円を含んでいるとはいえ、満足のいく数字ではないだろう。

「年間3000億円という目標を達成するためには、第2四半期以降さらに原価改善を進める必要がある。今いろいろな取り組みを行っている。もったいないという意識を浸透させるために、全社あげてペーパーレスを進めている」と白柳専務は話す。

目標は7割削減で、報告などでは紙を使わないようにし、資料も1枚の紙にまとめるようにしている。そのおかげでコピー機の使用が半分になったそうだ。

また、「自分でやってみよう」ということで、イベントなどこれまで外の会社に任せていたことを自社の若い社員にやらせるようにしている。これによって、コストダウンを図れるのはもちろんのこと、若い社員に企画から実行まで担当させることでさまざまなことを学ばせることができ、イベントのコストも把握できるわけだ。

さらに今回は生産現場で行われているTPS(トヨタ生産方式)を経理に導入し、決算業務を8%効率化できたという。「鉛筆1本でも大切にするという思いで原価改善を進める」と白柳専務。

確かに原価改善で細かいことの積み上げは大切である。しかし、あまりやり過すぎると日本の景気の足を引っ張るのではないかと心配だ。なにしろトヨタは日本中の経営者が注目している企業であり、トヨタがしているならうちでもとなりかねないからだ。

《山田清志》

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