客室乗務員がトイレで缶ビール、航空会社の飲酒対策はトラック輸送より甘い

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日本航空の国際線乗務員が、運航中にトイレで缶ビールを飲み、国土交通省から厳重注意を受けた。

同社は飲酒をした20代男性乗務員を乗務停止して社内処分を検討しているがそもそも旅客航空会社の乗務員に対するアルコール対策は、トラック貨物事業のレベルにも届かない甘いものだった。

この乗務員が飲酒をしたのは5月22日、ダニエル・K・イノウエ空港(ホノルル)~関西国際空港のJAL8791便の飛行中の機内だった。約9時間のフライトだったため機内で1時間15分の休憩をとることができ、その時間中は乗務員用の仮眠室で寝ることもできた。日本航空によると「仮眠しやすいようにトイレで缶ビール350ml缶1本を飲んで、休憩に入ろうとした」という。

缶ビールは機内サービスで乗客に提供されるもので、同社の規程では乗務員もノンアルコールに限って飲むことができた。しかし、飲酒は乗務開始12時間前から運航終了まで規程で禁止されていた。

8791便には、ほかに9人の乗員がいたが、誰も飲酒に気が付かなかった。見つけたのは、トイレ横の座席にいた乗客だった。

「お客様が缶ビールを持ってトイレに入る乗務員を見つけた。出た時には何も持っておらず、その後にそのお客様がトイレに入ると、ゴミ箱に空き缶が捨ててあった」(前同)

指摘をメールで受けた同社が乗員に事情を聴いたところ、供述したため飲酒が裏付けられたという。男性は2017年4月入社し、バンコク空港所客室乗員セクションに配属された。乗務員には初期訓練、国際線訓練、コンプライアンス教育、安全キャンペーンなど、さまざまな局面で、乗務中の飲酒規制について説いているというが、乗務歴8か月の新人は忘れてしまったのか。

国交省航空局によると、日本の航空会社で客室乗務員に対してアルコールチェックを行うところはないという。もちろん機長など運航乗務員にはチェックがあり、この違いは操縦するか否かだと考えられているが、トラックなどの貨物輸送では運転しないアシスタントもドライバーと同じようにアルコールチェックを受けるのが普通だ。接客だけでなく、緊急時の避難誘導を任される保安業務も担う客室乗務員の運航管理は、このままでよいのか。

日本航空は「抑止効果も含めて運航前と運航後のアルコール検査も含めて、しっかりとした再発防止策に取り組み、お客様の不安の解消に努めたい」と話す。

《中島みなみ》

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