日産 西川社長「(収益)パフォーマンスは改善」…円高で今期営業利益は6%の減益に

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日産自動車は5月14日、2018年3月期の連結決算と今期(19年3月期)の業績予想を発表した。今期の営業利益は前期比6%減の5400億円と、主として為替の円高影響により2期連続の減益を見込んだ。

今期のグローバル販売は3%増の592万5000台で、前期に続いて最高更新となる台数を計画した。海外は中国(1~12月分)で12%増の169万5000台と、引き続き過去最高を見込む一方、米国の販売立て直しに取り組む北米は3%減の203万台とした。また、日本は「e-POWER」を設定している『セレナ』や『ノート』の好調から5%増の61万5000台を計画した。

為替レートは1ドル105円と前期より1ドル約6円の円高を前提とし、営業損益段階では1350億円の減益に作用する。一方で販売増やコスト削減などは1440億円の増益効果となる。通期の純利益予想は、前期に米国の法人税減税による一時的な増益効果があったため33%減の5000億円と、3期ぶりの減益を予想している。

前期のグローバル販売は、3%増の577万台と堅調だった。海外は中国が12%増の152万台となったものの、市場の鈍化や在庫調整により北米は2%減と落ち込んだ。一方で、日本は完成検査問題の影響があったものの、『ノート』などの登録車に加えて軽自動車も好調に推移したことから5%増だった。

前期は購買コスト削減などで1962億円の営業増益効果を確保した。しかし、原材料費の上昇で1006億円、車種構成の悪化や米国でのインセンティブ積み増しなどによる費用増で1467億円が減益要因となった。さらに、完成検査問題に伴うリコールなどの費用と、タカタ製エアバッグに関する米国での集団訴訟和解費用を合わせた一時的費用が1004億円にのぼり、営業利益は22.6%減の5748億円と、2期連続の減益になった。

一方で純利益は、米国の法人税減税に伴う繰延税金負債の再測定によって約2000億円が増益効果となり、12.6%増の7469億円と過去最高で2期連続の増益だった。

記者会見した西川廣人社長は、今期の業績予想について「販売増やコスト削減などパフォーマンスは改善するが、残念ながら為替のネガティブ(円高)で押し出される」とした。再構築を図る米国事業については「今年度と来年度は収益性の改善を最大の狙いとしていく。フリート(法人向け需要)を伸ばすよりピュアリテール(個人向け小売り)のお客様を増やすよう取り組む」と述べた。

《池原照雄》

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