Webとクルマのハッカソン…最優秀賞は「オレヨメ(ワタカレ)」?

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Webとクルマのハッカソン2018
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  • あおり運転関連のアプリは2つあった
  • 各チームのプレゼンを評価する審査員
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「Webとクルマのハッカソン2018」の表彰式が28日、行われた。全国から11チームがコネクテッドカーのアプリやサービスを競うハッカソンで見事最優秀賞に輝いたのは「オレヨメ(ワタカレ)」というAIエージェントアプリだ。

このハッカソンの主催はWebとクルマのハッカソン2018実行委員会。総務省、経済産業省、自動車研究所(JARI)、W3Cなどが後援となり開催されたもの。協賛企業にはホンダ、日産の他、デンソーテン、アルパイン、ルネサスエレクトロニクス、村田製作所、アイシン、Webベンチャー系では、ユカイ、GoGoEV、Twilioなどが名を連ねる。運営事務局はKDDI総合研究所。

コンテストは、主催者が用意したサーバー(走行画像と同期した走行データを提供)にアクセスし、クルマに関するアプリやソリューション、サービスを2日間で開発する。2日目の午後は、各チームの成果発表とプレゼンテーションを行い、審査員が最優秀賞、優秀賞を選ぶ。

審査員は以下のとおり。

審査委員長
中村修(慶應義塾大学 環境情報学部 教授・W3C/Keio サイトマネージャ)
審査委員
村松寿郎(日産自動車株式会社 電子技術・システム技術開発本部 コネクティドカー&サービス開発部 テレマティクス開発グループ 主管)
小松康幸(株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター 主任研究員)
野辺継男(インテル株式会社 戦略企画室 ダイレクタ(兼)名古屋大学 客員准教授)
羽田野太巳(株式会社ニューフォリア 取締役 最高技術責任者)

参加11チームは、以下のようなサービスやアプリを開発した。

Aチーム:monicar(アプリ・サービス名:以下同)
道路標識やドライバーの表情などを読み取り、危険個所(事故多発地帯)、標識による規制の案内・注意喚起。いねむりなどのアラートを発する

Bチーム:TrueDriver
車両情報、後方カメラを利用してあおり運転を検知し、リアワイパーに仕込んだLEDで点滅の残像で文字を書いて後方に知らせる。V2V通信による通知も考えている。

Cチーム:パーソナルコーディネーター
車両情報などをサーバーにリアルタイムで送り、オフィスや管制センターで運行管理を行うシステム。車両のカメラ画像によるモニタリング、オフィス内のリモートモデルによる異常の可視化(タイヤの異常を検知したら、モニタ画面だけでなく手元の模型の該当箇所が光る)。さらにVRゴーグルを使ってエンジンなど内部の異常個所も確認できる

Dチーム:参加なし

Eチーム:助手席にくまさんが乗り込んできて2日が過ぎました
エンターテインメント性を備えたAIアシスタント。クルマの操作やナビゲーションではなく、チャットボット的な会話を楽しむ。ただし、機能はプラグインで追加できるようになっており、各種Webサービスやカスタマイズされた機能の実装も可能。会話のネタをSNSなどから学習する。実装は間に合わなかったが、前の車の車種を判別して会話をする機能も考えているという

Fチーム:はとカー
はとバスのようなガイドを自動的に行うAIエージェント。日常の運転に観光の要素を取り入れるというコンセプトのアプリ。案内は停車すると行うようになっているが、広告媒体としての利用を想定しており、ビジネス化も考えられている

Gチーム:オレヨメ(ワタカレ)
カメラ、ドライバー、車両情報等を利用した仮想助手席パートナー。これもAIアシスタントだが、ドライバーはAIとの会話が楽しめるようになっており、例えば急ブレーキを踏むと「もっと私を大事にして!」などと答えるという。また、会話の中から、ガソリンの値段などを拾って、例えばガソリン価格の比較サイトへ情報を自動的に投稿する機能もある。企業のデータ収集ニーズにも対応する

Hチーム:寿司ドラ
ヒヤリハットの場面を見つけると、声に反応してコインをゲットできるアプリ。走行中の状態を画像処理し、危険なシチュエーションを見つけられたら、その場所からコインが飛び出してくる。コインのアニメーションは、透過ディスプレイをフロントガラスに仕込んでおいてリアルな景色に重ねる。最終的には視線を認識するようにしたいとする。寿司ドラは、レベル3の自動運転でドライバーが運転を引き継がなければならないとき、スムースに制御を移行できるように、注意を外にむけさせるために考えられた。「寿司」は、コインをためると「寿司ガチャ」ができるという開発者の好みを実装したことによる命名

Iチーム:Nosete(のせて)
LINEグループを利用し、ドライブにかかった費用を清算するアプリ。走行データから高速道路の利用を認識し(確定には人間の操作が必要)、走行距離からガソリン代を計算する。LINEを利用するので各種サービスやアプリとの連携、Uberのようなシェアリングカーへの応用などが考えられる。

Jチーム:YORiちゃん
AIを利用したドライブアシスタント。YORiちゃんは犬のキャラクターで、ドライバーの集中度や感情を認識して、運転アドバイス、注意喚起を行う。他にも、運転状況に合わせたラジオをかけたり、ドライブスポットの情報を教えてくれたりする。

Kチーム:あおり運転検知通報AI
後方カメラの映像と車両情報をAIが分析し、あおり運転を検知した場合、自動通報を行うアプリ。通報先は警察、保険会社などが想定されている。昨今のニーズから、具体的なビジネスモデルも検証されており、月額料金やキャンペーンを想定したプレゼンテーションだった。

以上の中から、優秀賞にはEチーム「助手席にくまさんが乗り込んできて2日が過ぎました」が選ばれた。選考理由は、実用AIではなく、おもしろさやエンターテインメントという点にフォーカスした点と、SNSなどビッグデータを利用した会話づくりなどが、今後のサービスとしての可能性が評価された。

最優秀賞のGチーム「オレヨメ/ワタカレ」は助手席型のAIという発想と、会話から情報をアップロード(投稿)する機能が評価された。

なお、特別賞はIチームの「nosete」が選ばれた。これは、すぐにでもサービスインができるくらい実用的だったからだ。

《中尾真二》

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