東京-新函館北斗間、アンダー4時間へ…北海道新幹線の速度向上策が決まる 2018年度末

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青函共用区間での高速走行方針が固まった北海道新幹線。2018年度末に160km/h、遅くとも2020年度までには200km/hまで引き上げることになった。
  • 青函共用区間での高速走行方針が固まった北海道新幹線。2018年度末に160km/h、遅くとも2020年度までには200km/hまで引き上げることになった。

国土交通省は12月13日、北海道新幹線の「青函共用区間」における速度向上方針を、同日に開催された「青函共用走行区間等高速化検討ワーキンググループ」(高速化検討WG)の会合で決定した。

現在、青函共用区間と呼ばれる海峡線(新中小国信号場~木古内駅間87.8km)では、新幹線と貨物列車が線路を共用しているが、青函トンネル内における両者のすれ違いによる貨物列車への風圧の影響を考慮して、北海道新幹線は、2016年3月の開業以来、同区間で最高速度140km/hでの運行が続けられている。

本来、整備新幹線である北海道新幹線は、260km/hが最高速度の上限であることから、国土交通省では段階的に高速化の検討を重ねてきた。今回で3回目を数える高速化検討WGの会合では、並行して、技術的な検討を進めていた技術検討WGでのシミュレーション結果に基づき、青函トンネル内における160km/h走行の方針が固められた。

技術検討WGのシミュレーションよると、すれ違い時における貨物列車のコンテナに与える影響については「コンテナに生じる応力は降伏応力の目安値を超えないことから、コンテナの変形に関しては問題ない」とあり、貨物列車の走行に対する影響については「貨物列車の輪重減少率は目安値よりも小さいことから、すれ違いによる貨物列車の走行安全性についても問題ない」とされていた。

このほか、速度向上に伴なう施設の整備・管理の問題については、すでに160km/h走行を実施している新潟県の北越急行や、京成電鉄の特急『スカイライナー』が運行されている京成成田空港線(成田スカイアクセス線)でトラブルが確認されていないこと、青函共用区間においては、管理レベルの水準がこれらの路線を越えていることから問題がないとされていた。

地震発生時の貨物列車の安全性についても検討されたが、「青函共用走行区間付近には、規模の大きな活断層や海溝型地震の震源域が存在しない」こと、すでに早期地震検知システムや限界支障検知装置を導入済であるとして、安全性は保たれているという見解が示されている。

高速化検討WGでは、これら技術WGの検討結果に基づき、青函共用区間においては160km/h走行は技術的に可能であると判断。今後は、ATC(自動列車制御装置)の車上装置の改修などを進めた上で、2018年度に160km/h走行時のすれ違い試験を実施。2018年度末の速度引上げを目指す方針が決められた。

160km/h運転が実現すると、東京~新函館北斗間の最速時分は、現行の4時間2分より3分程度短縮され、同区間はわずかに4時間の壁を切ることになる。

また、今回の会合では、将来的な200km/h走行についても方針が決められている。

これについては、貨物列車への影響を最小限に留めるため、特定の時期に青函トンネル内の下り線に限定して高速化を図るという。

特定の時期とは、1日当たりの貨物列車の運行本数が少ない、ゴールデンウィークやお盆、年末年始に相当し、運行時間帯はその中の始発から夕刻頃とされている。

この200km/h走行は、誤進入防止システムの導入や、2018年に実施される160km/h走行の試験結果を踏まえて、遅くとも2020年度の実現を目指すことが決められた。

合わせて、上り線での実施や、実施時間帯の拡大、上限の260km/h走行を「社会・経済的効果も踏まえながら、早期に検討を行う」とした。

200km/h走行が実現すると、東京~新函館北斗間の最速時間は、現行より6分程度短縮されるという。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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