ホンダ(本田技研工業)は、東京モーターショー2017の会場において、3代目となる新型『PCX』をワールドプレミア。3代目はEVも導入されるが、トピックは二輪車初のハイブリッドシステムが搭載されること。しかもコンセプトモデルではなく、市販予定だ。
このハイブリッドシステムは、原付二種(125cc)のエンジンがベースとなる。しかし125ccに闇雲にモーターとバッテリーを搭載すると重量がかさみ、原付二種のメリットである「機動性」や「燃費性」が奪われることになる。
もちろん開発でもこのテーマは問題だった。しかしそれを解決したのが、発電機を駆動用にも使用する、いわゆる「マイルドハイブリッド」の採用。48Vに対応するモーターを導入することで、追加装備を最小に抑えながらもエンジンの十分なアシストが可能だという(ちなみに現行型は発電機をスターターに使う「ACGスターター」を採用。このシステムを応用している)。またこれ以外にも、ダブルクレードルフレームを新設計し、軽量化とリチウムイオンバッテリーの搭載スペースの確保を実現した。
このシステム採用の最大のメリットは何か。開発リーダーを務めた大森純平氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター 第1商品開発室 第2ブロック 研究員)は「走行性能の向上です」と強調する。
「例えばスクーターを再加速させる時、CVTの特性上、一旦間を置いてから加速を始めますよね。今回のシステムはこの間を埋めることが可能。より俊敏で楽しい加速を味わえます」
また原付二種スクーターのCVTは電子制御ではないため、急な坂では変速しきれずに加速が滞る場合がある。このハイブリッドシステムはこの加速のもたつきさえもアシスト。原付二種スクーターのウイークポイントを見事に解決してくれるという。
「もちろんPCXの魅力である燃費性能や8Lタンクの採用による航続距離の長さ、何より快適性と走りの楽しさはそのまま、むしろ現行型以上です。このPCXハイブリッドで、さらに磨きがかかった魅力を体感してほしいですね」。大森氏は続けた。