神戸製鋼データ改ざんの検証、大多数で安全性推認…半数は自社判断

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「本当に申し訳ない。慚愧の年に耐えない」とJIS取消について謝罪する川崎博也社長
  • 「本当に申し訳ない。慚愧の年に耐えない」とJIS取消について謝罪する川崎博也社長

神戸製鋼所は26日、同社グループが広範囲で行っていた検査成績書データ改ざんの検証で、川崎博也社長が経過報告を行った。525社中437社で安全性確認が進んだという。

不適合品を納入した取引顧客は、判明しているだけで525社。そのうち437社は何らかの形で「安全確度が高い」と判断した。残り88社が協議中であるとし、そのうち26社は国外の顧客であることを公表した。

「現時点では過去1年分を対象とした自主点検で検出した不適合品を納入したお客様(取引先)、直接の納入先以外のお客様の製品において、即時仕様を停止する、または直ちに製品を回収することが必要であるいう事象は確認されていない」と、川崎氏は述べた。

確認が遅れているのは、神戸製鋼所アルミ・銅事業部門。中でも自動車や飲料缶に使用されるアルミ板の取引先で57社中23社、半導体基板の内部配線やケーブル端子として使う銅板の取引先で38社中35社が協議中だ。川崎社長は会見で、次のように釈明した。

「銅板を例にとれば、サプライチェーンが複雑多様で、いつまでにできるかということが申し上げられない。お客様への情報提供等で最大限努力をしたい。安全の検証で最大限尽くすと言ったが、これでそれを緩めるということは、さらさら考えていない」

今回の報告は、神鋼グループに残っていた検査データと顧客に提出した検査成績書を突き合わせて、神鋼独自に「安全確度が高い」と判断した例も入っている。関連会社「神鋼メタルプロダクツ」では、火力発電所や原子力発電所で使う銅合金管やモールド金型を171社に納品している。その取引先では半数以上の103社は独自判断だ。取引先との安全性の合意はこれからの作業になる。

さらに、取引先と協議しながらも、将来にわたっての安全性については取引先が判断を留保したケースもある。川崎社長は「早期の取り換えは必要ないと言われているが、将来にわたっては、例えば定期交換が必要ということが、一部の取引先には言われている」と語った。こうした補償の神鋼への影響は、現時点で見通せず、30日の中間決算発表で説明する予定だ。

データ改ざんによる製品の安全性検証は引き続き進めるが、自主点検と緊急監査は10月25日でほぼ終了し、自主点検と緊急監査の妥当性や一連の不適切行為の原因究明を、これから発足する外部調査委員会に委ねる。委員長は元福岡高検検事長の松井巌氏。委員は元札幌高裁長官の山崎恒氏、元検事の和田衛氏の3人。いずれも現在は弁護士。

《中島みなみ》

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