室屋選手:レース始まる前に下を見るとそれは凄い数の人がいるんですね。90%か95%ぐらいの人は応援してくれていると思うと、それほど心強いものはない。それはありがたいことです。おそらく、Round of 14での僅差は応援の旗振りが自分を進めてくれたんじゃないですかね。風がちょっと吹いたら、その差は出ちゃうもの(笑)。それってなんか見えない力が働いたような気がしますよ。Round of 8でマットがミスったのも、あまりのアウェイ感に焦ったのかも知れない(笑)。そういう意味ではとてもラッキーなレースだったと思う。
◆千葉のコースで難しかった点は?
---:去年も今年もバーティカルに風が当たる千葉で、今回のコースも含め難しかった点はありますか?
室屋選手:千葉のコースで難しいターンはゲート6と7 で、左寄りコーナーのライン取りが難しいですね。攻めるとタイムは0.5秒ぐらいは上がるんですが、それをやるともの凄いリスクが上がるのも確か。Round of 8では2~3mほど風が沖から強く流されるように吹いていましたから、どうしても機体はズレていく。でも、相手がマット・ホール選手でしたので、そのタイムまで行かないと勝てないと思い攻めてみたんです。結果、54秒台は確保したけれど、マット選手は高さが浮いてしまってペナルティが科されてしまいました。
---:この経験がFinal 4での戦術変更につながった?
室屋選手:Round of 8の結果を踏まえて、Final 4へ行くときは、イチかバチかはやめて手堅く元のプランで行くことにしたんです。で、55秒台前半を取ったんだけれども、この数値だと相手も楽に行ける数値ではないんです。ただ、スーパーラップを出されたら負けるかなとは思ってました。それでマルティン・ソンカ選手もマティアス・ドルダラー選手も54秒台だったでしょ。そのタイムを見たときは思わず、「おぉ!」と思ってしまった。だけど、彼らにペナルティが科されのは本当にラッキーでした。
---:もはや心理戦ですね?
室屋選手:勝負ですからね。そこは先行で飛ぶわけで、54秒台を取れば勝てる可能性は高くなるかも知れないが、その分だけリスクも大きくなります。仮に自分が先行でなく、同じような対応をされていて優勝を狙うとしたら、Round of 8と同じような攻めるラインを選んだ可能性はあります。ただ、2位できちんとポイントを固めていくとのチームの戦略もあったし、全戦で勝てるとは思っていない。その方が1年を通せば良い結果は出るはずとの計算もありました。