白山開山1300年、「その先の加賀」白山市で見た日本のルーツ。

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白山市を山の方へ。昔ながらの街並みもさることながら、仕事も昔のまま。今でも石室で作るこうじのお店は今では全国的にもかなり珍しいという。ここはまさに発酵街道である。
  • 白山市を山の方へ。昔ながらの街並みもさることながら、仕事も昔のまま。今でも石室で作るこうじのお店は今では全国的にもかなり珍しいという。ここはまさに発酵街道である。
  • 「その先の加賀」白山市で見た日本のルーツ。
  • 武久商店さんでは、完成したこうじの様子が、まるで、蒸し米の表面にふわっと花をつけたようになることから、「麹」ではなく「糀」という字を使っているという。
  • 武久商店さん、その店先のみならず、建物全体にその歴史を感じる。ちなみにこちらのこうじ、人気ですぐに注文分で売り切れてしまうという。この辺りには、外食の習慣があまりないことに加え、味噌を作るという習慣が根付いているそうだ。
  • 「その先の加賀」白山市で見た日本のルーツ。
  • 今回白山市を案内してくださった、発酵料理研究家の高橋香葉さん。この日も講演で白山市を訪れており、発酵食品や、そうしたもののワークショップのようなことを通じてコミュニケーションが広がっているのだという。
  • 海から山まで発酵街道~伝えたい~白山市の発酵文化。このような冊子で地元の人にはもちろん、市外の人にも様々な情報発信をしている。
  • ふぐの糠漬け・粕漬けはこの地域の特産。2年以上発酵させると卵巣の毒もなくなり、比類なき珍味が出来上がる。

北陸新幹線の伸延で賑わいを見せる金沢。しかし「ぜひこの機会に、足を伸ばして魅力を感じてほしい」と話すのは白山市観光連盟アドバイザーを務める発酵料理研究家の高橋香葉さん。

日本三名山に数えられる白山は、古くから霊峰としてこの地方の人々が仰ぐ山。この山に泰澄大師(たいちょうたいし)が初めて登ったのが養老元年、西暦717年のこと。以来白山は神と仏の共存する聖地として知られるようになり、修験者たちによって日本全国白山信仰が広まるようになる。明治以降は信仰の山としてのみならず、この美しい自然を楽しむことのできる山として、多くの登山者に愛される山となった。今年2017年は、ちょうど開山1300年の節目の年を迎える。

それに合わせて、一年を通して様々なイベントが企画されている。

また、北前船で栄えた加賀藩ならではの文化や伝統も色濃く残る現在の白山市周辺にも「金沢から少しだけ足を伸ばして、お越しいただきたい。特にクルマでご旅行されるのであれば、必見です」と市の担当者も話す。

今では県内最大の面積を誇り、人口でも金沢市に次ぐ規模の白山市。海辺から白山の山頂までが市内に含まれ、日本海の暖流の影響もあって雪が多いこの地域。また県内最大の河川手取川も北に向けて流れるなど、市全域で水の循環が完結するといテーマで白山手取川ジオパークとして認定されている。

そしてこの白山からの伏流水で仕込んだ「加賀の菊酒」生まれたほか、平野部では醤油、味噌、醸造酢、麹など様々な発酵食品の生産が古くから盛んな地域である。また、そのメカニズムには未だに謎の多い、ふぐの卵巣の毒抜きとして糠や糀につけて作る珍味も忘れてはいけない。北前船の往来が盛んだった頃から、その寄港地のみに伝わるこの珍味も、日本人の知恵を古くからうまく活用した食文化が、この地域に根付いていた証といっても良い事例だ。

今では健康や美容の観点で注目される発酵食品だが「この地域にはもっと古くから生活の中で培われてきた知恵のようなものです。そして今も昔のスタイルを踏襲して作られているものも多いという点は注目に値します。加賀、石川県地方のルーツのみならず、私たち日本人の食文化のルーツに触れるという点でも、ぜひ全国の皆様に知っていただきたいところです。」と高橋さんは話す。白山市観光連盟では「海から山まで発酵街道」という冊子を作ってこの地域の発酵文化の発信にも積極的に取り組む。

新幹線で身近になった金沢。しかしもう少し足を延ばすと、そこには私たちの日本人のルーツがある。是非ともクルマでじっくりと巡りたい、そんな石川県白山市。白山節目の今年、出かけられてはいかがだろうか。

《中込健太郎》

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