昔の鉄道少年を夢中にさせた「大百科」復活…寝台特急『富士』ルポも再現

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「鉄道『大百科』の時代」の表紙。著者の南さんが当時の思い出などをつづっている。
  • 「鉄道『大百科』の時代」の表紙。著者の南さんが当時の思い出などをつづっている。
  • 南さんはアニメ制作会社を経てカメラマンとして独立。勁文社の「大百科」シリーズで活躍した。写真は「大百科」時代の頃、南さんが撮影した寝台特急『さくら』。
  • これまでに刊行された「大百科」をカタログ形式で紹介。一部は古書で購入するなど、当時の本を集めるのには苦労したという。
  • 南さんが「大百科」に関わるようになった話や、取材の苦労話なども盛り込まれている。
  • 『富士』のルポ(1977年)も再録。当時の国鉄は指定券類の予約・発売を行うコンピューター・システム(マルス)を既に導入していたが、個室寝台の発券には対応していなかったため、手書きの切符で発売されていたことが分かる。
  • 当時の制作者や読者も寄稿。ユニークなイラストが人気だったえがしらさんも寄稿している。
紀行写真家の南正時さんはこのほど、「鉄道『大百科』の時代」(実業之日本社)と題した本を刊行した。「昭和50年代の鉄道少年」が夢中になった「大百科」の、制作裏話や思い出をつづっている。

「大百科」は、勁文社(2002年倒産)が1970年代から刊行していた子供向け文庫本シリーズ。特撮番組の怪獣やプロ野球、飛行機、自動車などの情報を百科事典風にまとめた内容が特徴で、当時の子供たちの間でブームとなった。実業之日本社「こどもポケット百科」や小学館「コロタン文庫」など、他社からも同様のシリーズが多数出ている。

鉄道関係では1976年、南さんの監修による「世界の鉄道 機関車・電車大百科」を刊行。その後も南さんは「世界の鉄道 特急・私鉄大百科」(1976年)や「日本の鉄道 特急・急行大百科」(1977年)などの著者として「大百科」の取材・執筆を行い、「こどもポケット百科」シリーズでも「ブルートレイン決定版」(1979年)や「国鉄全線大百科」(1980年)の制作に関わった。

本書では、南さんが関わった「大百科」の表紙や誌面、刊行データをカタログ形式で紹介。また、アニメ制作会社を経てカメラマンとして独立した後、列車内での出会いをきっかけに「大百科」に関わるようなった話、「大百科」取材時の苦労などがつづられている。

このほか、「特急・急行大百科」の寝台特急『富士』乗車ルポ(1977年3月取材)を再録。1970年代後半のブルートレイン・ブームのなかでも、とくに人気の高かった『富士』の様子が描かれている。「大百科」で「半擬人化した鉄道車両」のイラストを描いた、えがしら剛さんや、「大百科」を読んで育ち、後に鉄道カメラマンとなった山崎友也さんらも寄稿している。

■担当編集者も「大百科」世代

本書の編集を担当した実業之日本社の磯部祥行さんは小学生の頃、南さんの「ブルートレイン決定版」「国鉄全線大百科」で、今の勤務先を知った。「私の周りもみんな何冊かは持っていて、貸し借りしながら没頭して読み込んでいました。子供の頃から鉄道が好きな今の40代のほぼすべては『大百科に育てられた』という思いを持っていると思います」と話す。

南さんからも「『大百科』を懐かしむ声が多く上がっている」と聞き、これが「鉄道『大百科』の時代」を企画した直接のきっかけになった。「シリーズの全貌を知りたい鉄道ファンはいるはず」と考え、シリーズを統括する構成を作ったが、当時の本を集めるのは苦労したという。

南さんも全ての「大百科」を手元に残していたわけではなく、当時の関係者から借りたり、一部は古書を購入。誌面の掲載に際しては「古い本なので本が壊れる可能性があり、慎重に作業しました」。『富士』の乗車ルポなどは、ほぼ全ての写真の原板があったことから、鮮明な写真で構成し直している。

「南さんの本に育てられたという気持ちがある方は、ぜひ、感謝の気持ちとしてお手元に置いていただけると嬉しい」(磯部さん)。

発売額は1800円(税抜)。2月24日には南さんの刊行記念トークショー・サイン会が行われる予定だが、既に予約で満員になっているという。
《草町義和》

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