西武鉄道、踏切事故を想定した「2016年度 総合復旧訓練」を実施

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大地震発生時、慌ててアクセルを踏み込んで踏切内へ進入したクルマと、通過列車が衝突した…という設定で訓練が行われた。
  • 大地震発生時、慌ててアクセルを踏み込んで踏切内へ進入したクルマと、通過列車が衝突した…という設定で訓練が行われた。
  • クルマは列車に押し出されて大破。脱線は免れたが、下部にクルマの一部を巻き込んでしまい、列車も走行継続が困難な状況に。
  • 訓練の設定としては、クルマは原型を留めないほど大破。ドアが手で開けられない状態。
  • クルマの運転者は意識不明に近く、呼びかけには明確に反応しない。
  • 最寄り駅から非常はしごを背負った駅員が到着。負傷していない乗客の脱出をサポートする。
  • はしごを安全な場所に設置していく。
  • 普通のはしごなので、降りる際には気を使う。
  • こちらは列車の床下に格納されている非常用はしご。こちらの方がステップの幅も広く、降りやすかった。

西武鉄道は10日、「2016年度 総合復旧訓練」を玉川上水車両基地(東京都東大和市)で実施した。「関東地方に大地震が発生するとともに、その最中に踏切事故が起きた」という想定で、同社の全部署に加え、地元の消防や警察も参加して行っている。[写真15枚]

同社の「総合復旧訓練」は秋ごろに毎年実施している。例年、実践的なテーマで実施することを特徴としているが、今年は「関東地方に発生した震度6弱の地震を受けて列車の非常停止を行っていたところ、拝島線・玉川上水駅近くの踏切を通過していた列車とクルマが衝突。この際に車内で乗客も転倒して多数の負傷者が出ている」、「列車の脱線は免れたものの、玉川上水~武蔵砂川間では地震の影響によって軌道部の陥没が約200mに渡って発生し、列車の運行が不能となっている」という、二つの事象が同時に発生する想定で訓練を実施した。

クルマとの衝突事故については、地元消防や警察と連携した対応を実施。事前応募者の中から選ばれた一般の見学者(約70人)も「車内に取り残された乗客」として訓練に参加しており、非常用はしごを使っての車外脱出を実際に体験している。

同社では今夏、大雨の影響によって多摩湖線で線路脇の土砂が崩れ、長期に渡って列車の運行が不能になるというトラブルを経験しているが、早期に避難を完了させたことで乗客の負傷は免れた。また、当初は1か月ほど掛かると予想されていた復旧完了を2週間で成し遂げるなど、こうした訓練の実施によって得た経験を発揮したことで迅速な対応ができるようになったという。

《石田真一》

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