絶好調の富士重に陰り? 2016年度通期の営業利益が34%の減益見通しに

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富士重工業の決算会見の様子
  • 富士重工業の決算会見の様子
  • 富士重工業の吉永泰之社長
  • 米工場での生産が始まったインプレッサ
  • 米工場での生産が始まったインプレッサ
  • 米工場での生産が始まったインプレッサ
  • 米工場での生産が始まったインプレッサ

富士重工業は11月2日、2016年度第2四半期連結決算を発表した。それによると、通期の業績予想が営業利益が3730億円(前期比34.1%減)、純利益が2780億円(同36.3%減)と大幅に落ち込み、“絶好調”富士重に陰りが出始めたという声も聞こえだした。

減益の原因は言うまでもなく円高だ。世界販売台数は106万2000台と過去最高を更新するものの、そのうちの62%を米国で販売している。為替が円高になると、収益は大きく悪化してしまう。富士重の場合、1円円高に振れると営業利益で年間100億円の減益要因になる。

この11月から米国工場で新たに増設したラインで、これまで日本から輸出していたスバル『インプレッサ』の生産が始まり、為替影響が少なくなると思ったが、逆に大きくなってしまうという。高橋充CFOによると、年間105億~110億円になるとのことだ。

その理由は、スバル車の心臓部である「水平対向エンジン」を米国で製造するのが難しく、日本から輸出しているためだ。米国での生産が増えれば増えるほど、エンジンの輸出が増え、為替影響をより受けてしまうわけだ。

しかし、見方を変えれば、これまでが異常、出来過ぎだったと言えるだろう。2010年以前の業績と比べれば、それは一目瞭然で今期の大幅減益の数字でも十分すぎる。なにしろ営業利益率が11.7%と、同業他社がうらやむレベルなのだ。富士重は普通の会社に戻りつつあると言っていいかもしれない。

大事なのは今後数年で、円高でもこのレベルをいかに維持していくかだ。吉永泰之社長もそれは十分承知で、「これからの舵取りが非常に重要になる」と話し、こう続ける。

「増産できる体制になったから、とにかくつくるということではなく、在庫の状況を見ながら微調整をしながら生産していく。若干足りない状況をいかに維持し、販売の勢いを保ちながら台当たりの利益を高い状態に維持していきたい」

このビジネスモデルがうまくいっているうちは、富士重にピンチが訪れることはないだろう。

《山田清志》

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