23日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)開幕戦の公式予選が鈴鹿サーキットで行なわれ、大物が続々と早期脱落する波乱の展開のなか、2013年王者の山本尚貴がポール獲得を果たした。新人の関口雄飛とストフェル・バンドーンが3-4位。
ヨコハマ製ワンメイクタイヤ使用のファーストシーズン初戦、3段階ノックアウト方式の予選は波乱の連続となった。各車のアタックタイミングでスピンする車両が相次ぎ、赤旗中断、多くの者がタイヤ的にベストではない状況でのアタックやり直し、というような局面の連続だったのである。
この日は一貫してドライコンディション。だが、やはり新たなタイヤでの初めての予選ということがスピンやコースアウトの連鎖につながっていたようだ。最終的に予選上位を得たドライバーたちの実感がそれを象徴する。「タイヤが変わったことへの対応が、つかみきれていないと難しいというか、シビアな感じはあります」「グリップレベルはすごく高いですけど、そのピークを超えた時のコントロール性が以前のタイヤとは違うので、そこが難しいですね」。
いずれにしても、ドライコンディションの予選における波乱の度合いとしては近年稀な展開だった。赤旗中断だけでなく、スピン車両によるイエローフラッグ掲示のタイミングによるタイムの有効、無効という運、不運も明暗を分けるなどするなか、チャンピオン経験者がQ1~Q2で続々と脱落していく。
Q1では2010年王者#19 J-P.デ.オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)が17位、昨年のチャンピオン#1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が15位で脱落。そしてQ2では最強トムス・コンビまでもが姿を消す。12&14年王者#37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)が14位、11年王者#36 A.ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)が9位だった(Q1のオリベイラとQ2の一貴は赤旗の原因にもなっている)。
Q3進出枠の8台中、ホンダ勢が過半数の5台を占めたのも最近にない展開だったと思うが、結果的にQ1から3セッション連続トップで予選完全制覇を成し遂げたのは、13年王者#16 山本尚貴(TEAM 無限/ホンダ)。Q3では後続を0.361秒引き離す、1分37秒459をマークした。
実は山本は予選Q1途中まで苦しんでいた。「昨日のフリー走行からあまり(マシンの)調子が良くなく、とてもポールを狙える位置にはないと感じていました」。しかし「Q1の2セット目のタイヤを入れてから(そこでのセット変更が効いて)調子が良くなりましたね。昨日はトラブルもあったんですけど、エンジニア、メカニック、そしてホンダの方々がみんな夜遅くまで頑張ってくれて、そのおかげでこうしてポールが獲れました。本当に感謝しています」。
山本は決勝に向けて、「明日みんなにもっと感謝するためにも、1番で帰ってきたいと思います」と、彼らしい決意を語る。狙うは昨年の最終戦鈴鹿(2レース制)の第2レースに続く、2戦連続のポール・トゥ・ウインだ。
予選2位には#2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)がつけ、フロントロウはホンダとトヨタが分け合った。ポールが獲れず、「すごく悔しい」という国本だが、逆転で悲願のシリーズ戦初優勝を目指す。そして2列目には注目新人ふたり。名門インパルのシートを得た#20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)、そしてF1で一足先にデビューを飾ってきた#41 S.バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)である。どんなスタートシーンになるのか、今から楽しみな上位の顔ぶれだ。
予選5位はバンドーンの僚友#40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)、6~7位には復活気配の実力者たち、#34 小暮卓史(DRAGO CORSE/ホンダ)と#10 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)。さらに参戦2年目の#8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)が8位からの逆襲を期す。
スペクタクルな展開も大いに予想される開幕戦鈴鹿の決勝レースは、明日(24日)の15時15分にフォーメーションラップ開始予定。43周、250kmの戦いとなる。