謎の天体・高速電波バーストの発生源は50億光年の彼方…すばる望遠鏡で解明

宇宙 科学
左上パネル:パークス電波天文台が観測した全領域 右側のパネル:左上パネルの拡大図 下パネル:すばる望遠鏡でFRB母銀河を分光してスペクトルしたもの
  • 左上パネル:パークス電波天文台が観測した全領域 右側のパネル:左上パネルの拡大図 下パネル:すばる望遠鏡でFRB母銀河を分光してスペクトルしたもの

東京大学や国立天文台などを含む国際研究チームは、オーストラリアのパークス電波天文台が発見した高速電波バースト(FRB)を、ハワイにあるすばる望遠鏡で追観測し、初めてFRBが発生した遠方の銀河を突き止め、その距離が50億光年という遠距離であることを証明した。

電波望遠鏡で夜空を観測していると、継続時間がわずかに数ミリ秒という極めて短い、FRBという謎のフラッシュ現象が起きる。数年前に発見されたばかりで、観測された電波の特徴から、パルサーなどの銀河系内の既知天体ではなく、銀河系外、しかも50~100億光年という宇宙論的な遠距離からやってきていることが示唆されていた。

これまで直接的な距離測定は全く例が無かった。今回、FRBの発生源が50億光年という遠距離であることを突き止めた。これによってFRBは、宇宙論的遠距離にある巨大な爆発現象であることが明らかになった。

また、宇宙における通常物質(バリオン)の大半が未検出だったという、宇宙論上の「ミッシングバリオン問題」も解決した。

ただ、FRBの母銀河が発見されたのはまだ今回の一例のみで、FRBの正体が何なのかを明確に決定するには今後さまざまな観測が必要としている。

《レスポンス編集部》

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