帝人グループの東邦テナックスは、省エネで生産性の高い、革新的な炭素繊維製造プロセスの開発に成功したと発表した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「革新的新構造材料等研究開発」の成果として、「マイクロ波による炭素化技術」と「プラズマによる表面処理技術」の開発に成功した。
炭素繊維は、軽量で力学的特性に優れる素材で、航空機に加え、軽量化素材として今後は自動車への適用が見込まれている。一方で炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を炭化する製造工程で膨大なエネルギーを要する素材でもあり、今後、自動車などへの本格的導入に向けては、生産性を飛躍的に高め、製造時の消費エネルギー、二酸化炭素排出量を大幅に低減することが求められる。
NEDOは2014年度から「革新的新構造材料等研究開発」を立ち上げ、その中核テーマの1つとして「革新炭素繊維基盤技術開発」を掲げて取り組んできた。
同社は、当初からプロジェクトに参画し、世界初の技術である「マイクロ波による炭素化技術」と「プラズマによる表面処理技術」の開発を進めてきた結果、今回技術開発に成功した。
大気圧下でのマイクロ波エネルギーによる炭素化で、工業製品とほぼ同等の性能である弾性率240GPa以上、破断伸度1.5%以上を世界で初めて得ることに成功した。
また、ドライプロセスかつ数秒間という極短時間で炭素繊維の表面性状の制御が可能なプラズマ表面処理技術の開発に成功した。
同社では、炭素繊維複合材料の量産化時代に向けて、今後、この技術の量産プロセスにおける工業化を目指す。