日本気象協会は26日、「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」の事業初年度となる、平成26年度の成果を公表。2年目となる27年度の取り組み内容も紹介している。
同事業では日本気象協会が気象情報に加えて、POSデータなどのビッグデータも解析。高度な需要予測を行ない、食品メーカー(製)、卸売事業者(配)、小売事業者(販)の各社に情報を提供する。
従来は製・配・販の間で情報共有が十分に行われず、各流通段階にて生産量や注文量にミスマッチ(予測の誤差)が発生していた。そこで、同協会がこれらの情報を一元化し、需要予測の精度を向上することが同事業での狙い。食品の廃棄や返品などを減少させ、二酸化炭素ロスの5%削減を目指す。
26年度はMizkanの「冷やし中華つゆ」、相模屋食料の「豆腐」を対象に関東地域で事業を実施。売上、発注量、廃棄量、気象といった各種データを解析し、生産量を調整した結果、二酸化炭素ロスを「冷やし中華つゆ」では約40%、「豆腐」では約30%削減できることを確認。また、「冷やし中華つゆ」については昨夏と比較して、今年8月末時点で2割弱の在庫が圧縮できた。
27年度は地域を関東から全国へと広げ、対象商品もネスレ日本のコーヒーやポッカサッポロフード&ビバレッジの炭酸飲料などに拡大。POSデータ解析においても、ローソンやバローホールディングス、カメガヤのデータを使用する。なお、解析には今年5月に設立された国立研究開発法人産業技術総合研究所「人工知能研究センター」などの研究機関も参加。ツイッターといったSNSの情報により体感温度なども解析し、需要予測への反映を目指す。