無段階変速機「CVT」と『プリウス』に代表されるハイブリッド車は、日本国内で販売される自動車のパワートレインの主流となってきている。諸外国と比較するとガラパゴス化しているように見えるこの現象は、日本の道路事情が原因であるといわれる。平均車速が低くスムーズな変速が求められるため、ハイブリッドやCVTの燃費が良好であるというわけだ。
本コラムでは、実燃費投稿サービス『e燃費』のデータを使ってハイブリッドとCVTの実用燃費を解析し、前述の原因説を検証する。第4弾の今回は、各国のカタログ燃費の計測モードの違いから、日本の「ガラパゴス化」の要因を探る。
◆各国のカタログ燃費の計測モード比較
日本の10・15モード、アメリカの「シティモード」とヨーロッパの「NEDCモード」を「画像8」に示す。アメリカの燃費はさらに最高速130km/hの「ハイウェイモード」を加えた複合燃費がカタログ表示される。この図から、10・15モードが非常に低速走行を想定していることがわかる。各走行モードの平均車速(アイドルを除く)と平均駆動パワー(アイドルと減速を除く)を整理すると画像8のように、各モードの性格と10・15モードの特殊性がよくわかる。
◆日本がガラパゴス化を招いた理由
このように特殊な10・15モードを燃費計測モードとして採用したことが、日本のCVTとハイブリッドの積極的採用というガラパゴス化を招いた大きな要因である。近い将来の適用が確実な世界共通モードWLTPでは、実用燃費との乖離を減少するため「画像9」に示すようにさらに負荷の高い運転領域を使うようになる。
その場合、CVTのモード燃費の優位性はなくなる可能性が高い。ハイブリッドにおいてもアクアやフィットのようなフルハイブリッドの優位性が小さくなる。ガラパゴス日本発のCVTとフルハイブリッドの将来は? 特に多段化が進む多段トランスミッションに対するCVTの燃費競合力が、近い将来失われる可能性は少なくない。
《文:畑村 耕一》
《まとめ・編集:吉澤 亨史》